福島県・原子力災害で 県ビジョン委が「脱原発」 基本理念案に記述

3月の東北地方太平洋沖地震によってもたらされた津波、その後の原子力災害、さらにそれに伴う風評被害によって深刻な状態が続いている福島県は、「福島県復興ビジョン検討委員会」(座長=鈴木浩・福島大学名誉教授)を設置して幅広い視点から検討を行ってきているが、15日開いた第5回会合で、基本理念(基本方針)案として、「『脱原発』という考え方の下、原子力への依存から脱却し、再生可能エネルギーの飛躍的な推進を図る」との文言を盛込んだ。

同会議には、第2回のいわき地区海岸部、相双地区の南相馬地区などの視察を除いて、佐藤雄平知事か内堀雅雄副知事が毎回出席した。

これまでの会合で、原子力関係については、「原発についての判断は、経済や雇用を前提に考えるべき」といった肯定的な意見もあった一方、「福島を原子力エネルギーから自然エネルギーへの転換という文明論的な先駆けの地へ」、「福島県は原発事故で大きく傷つけられた。よってビジョンの中で、脱原発を示す必要がある」、「脱原発を前提とすれば、ふるさとへの帰還、新産業に向けた取組みが結びつき、メッセージが明確になる」、「日本全体で脱原発は難しいだろうが、福島県だけは脱原発という特質性を持たせたい」、「脱原発に至るプロセスが大切である」、「クライシス(危機)に対し、予測可能な社会・地域をつくっていかなければならない」などの脱原発を促す意見が出されていた。

「原子力災害の克服」の主要施策としては、@大気、水、土壌などの環境浄化A放射線影響に対して、長期にわたって県民の健康を守るB原子力災害からの復興を図り、新たな産業の振興や農林水産業の再生C原子力災害対策を世界の英知を集積して進める――取組みを挙げている。具体例として、@国および国際的機関の福島県への誘致・移転A原子力災害補償の十分な実施――などを例示している。

今後は、次回会合を7月2日に開いて復興ビジョン(素案)を作成し、県民にパブリックコメントを求めた後、7月下旬にも第7回会合を開いて提言を取りまとめ、県として復興ビジョンを決定。第1次復興計画を年内に策定し予算化する。


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