米・原発 洪水被害で冷却機能に影響なし

米ネブラスカ州のフォートカルホーン原子力発電所(PWR、53万kW)では5月下旬以降、近隣を流れるミズーリ川の増水による浸水を食い止めるため、水を詰めた土嚢で敷地内の主要建屋を取り囲む措置が取られている。

土嚢は高さ2.4m、幅4.8mという太さで全長は約609mに及ぶが、同発電所を所有するオマハ公共電力局(OPPD)は26日、この土嚢の一部に穴が開いたため、主変圧器の周辺のコンクリート製フェンスが破れた場合に備えて、主変圧器への配電を外部電源から敷地内の緊急用ディーゼル電源に切り替えたと発表した。

現在、同発電所には米原子力規制委員会(NRC)の検査官が詰めており、格納建屋と補助建屋周辺に水が流れ込んだ後も原子炉の停止時冷却と使用済み燃料プールの冷却状態に影響はなく、発電所の機能が保たれていることを確認。すべての安全チェックが完了したため、外部電源への再接続を試みている。

同発電所は燃料交換のため4月9日に運転を停止。ミズーリ川からの洪水に備えて5月21日から砂袋や排水ポンプなどの設置を開始しており、平均潮位から309m上までの洪水に耐えられる体制を整備した。再稼働への準備活動は6月3日に中止し、4段階の緊急事態宣言の最低レベルである「異常事象事態」を6日付けでNRCに通達。7日には開閉装置で火災が発生し、使用済み燃料プール冷却ポンプへの電力を一時喪失したが予備ポンプの起動により冷却機能は回復した。

一方、洪水の水位は17日時点で306.4mに上昇。22日にNRCが現場の検査官を増員した際は306.6mに達した。26日現在でも同じレベルのまま水が引かない状態だが、NRCでは今後、307.2mを超えることはないとの見方を示している。


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