各国で安全対策を強化 原子力政策 専門家が動向紹介

    

国際文化会館は16日と17日の二夜にわたり、連続プログラム「世界の原発政策を捉える」(=写真)を開催した。東日本大震災の影響で国内外の原子力発電政策も再検討が迫られている。17日は「世界の原発政策の動向」をテーマに中国・フランス・日本・米国の原子力政策専門家が各国の状況を説明した。

中国では低炭素社会構築に向け3月14日、「第12次5か年計画」を採択したが、福島原子力発電所の事故を受け、原子力発電推進の方針は堅持するが目標下方修正もありえるとし、原子炉技術や立地の選択・安全文化形成などを含めて事故予防対策を強化している。

フランスでは福島事故を受けての取り組みとして、5月の仏ドーヴィルでのG8首脳会談、今月7日のOECDパリ閣僚理事会、そして今月20〜24日にIAEA閣僚会議で原子力安全をテーマに議論を行った。またフランス国内においては、首相の要請により、すべての原子力関連施設において原子力安全機関(ASN)がストレス試験を行うとしている。

米国では、2005年のエネルギー政策法や2010年のエネルギー省(DOE)原子力分野R&D向け予算増強などにより原子力ルネッサンスの勢いが加速傾向にあったが、福島事故後は、規制改革やマークI型格納容器BWR停止などの要求が高まっており、現行の地震や津波や洪水などの評価から新たな規制が加わる可能性があるほか、使用済み燃料の管理についても検討すべきとの声が出てきている。

会場からも多くの質問が出され、国際的な安全基準制定の実現性や各国での専門家養成などについて、パネリストとの熱心な議論が交わされた。


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