【原子力ワンポイント】日本の放射線・放射能基準−−福島第一原発事故〈番外編(10)〉 身体にはがん細胞を殺す自然免疫細胞も

放射線は直接の打撃または活性酸素を作ることによって細胞を壊します。壊された細胞は、修復や細胞の自殺を行いますが、一部の細胞はガン細胞になります。一方、低線量の放射線により免疫力を高めてガンを治療することも考えられています。

ゲンくん どうして放射線を浴びるとガンになるの。

カワさん まず、ガンになる原因の細胞破壊を説明します。放射線を一言で言うと、原子核から飛び出してくるエネルギーですが、大きいエネルギーが細胞に当たると細胞を壊してしまいます。また、エネルギーが小さいと水を分解して活性酸素を作ります。人の体は体重の約70%が水でできているので、スポーツ・運動だけでなく放射線でも活性酸素が作られ、活性酸素が細胞を壊します。(詳しくは本紙3月31日付「広く利用されている放射線K」参照)なお、このほかストレスや炎症・体温上昇によっても活性酸素は作られます。

ゲンくん 細胞が壊れても元通りに直るんでしょう。

カワさん 損傷の程度が少ないときには元通りに直りますが、壊れ方が大きい場合には、不完全な修復となり、機能が変化した細胞になり無限に増殖を始めるケースがあります。これが細胞のガン化です。

ゲンくん ガン化した細胞はどうなるの。

カワさん ガン化細胞は2つの対応がとられます。1つはアポトーシスと言われる細胞の自殺で、ガン化細胞は排除されます。もう1つはアポトーシスしない細胞でガン細胞として生きます。

ゲンくん 体の中には、ガン細胞をやっつける細胞もあるって聞いたけど。

カワさん 私たちには生き残ったガン細胞を殺す免疫機能が備えられています。ナチュラルキラー細胞(生まれつき〔natural〕の細胞傷害性細胞〔killer cell〕=NK細胞)に代表される自然免疫として働く細胞です。細胞傷害性T細胞も仲間です。自然免疫やアポトーシスにより、ガンの発症は抑えられています。ところで、自然治癒力・免疫力を高める方法の1つとして、岡山大学三朝医療センターでは自然放射線の働きに注目しています。岡山県三朝温泉などのラドン療法です。まだ、適度な刺激による活性化の可能性が指摘されている段階ですが、研究が進みその効用が証明されるとガン治療も進化することになると思います。

原産協会・政策推進部


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