東京電力福島第一 「安定的な冷却」目標達成 ステップ2の冷温停止へ

福島第一原子力発電所事故に対応する政府・東京電力統合対策室は19日、東京電力本社で、記者会見(=写真)を開き、細野豪志・内閣府原発担当相らが事態収拾に向けた「道筋」の進捗状況を発表した。この3か月間のステップ1で目標とした「放射線量の着実な減少傾向」が達成されていることを確認。

ステップ1の期間で、モニタリングポスト等が示す発電所敷地境界における被ばく線量評価は最大でも約1.7ミリSv/年(Cs134、137、一般公衆の線量限度よりやや大)で、事故当初と比較して十分に減少していることから、目標達成を確認し、ステップ2に移ることとなった。測定された放射能がすべて原子炉建屋から放出していると仮定すると、事故時と比べ約200万分の1にまで収束している。

原子炉については、(1)原子炉で発生している熱を安定的に除去できている(2)処理施設が稼働して滞留水を増やさずに注水できている(3)注水の信頼性が確保されている(4)格納容器に窒素充填を行い水素爆発が回避されている――ことから、「安定的な冷却」の目標を達成したとしている。ステップ2では、「冷温停止状態」に持ち込むことが課題となるが、細野大臣は、「まだ楽観できる段階にない」とし、予断なく進めていくことを強調した。

滞留水については、放射線レベルが高い水を敷地外に流出させないよう、十分な保管場所を確保した上、6月より処理施設を稼働、累積処理量は2万3480トンに達した。また、高レベル滞留水が流入した港湾内を、セシウムを吸着するゼオライトも用いて浄化するなど、海洋汚染防止拡大防止も図っている。ステップ2では、処理施設の安定稼動に努め、滞留水の全体量減少を目指す。

放射性物質の飛散抑制では、飛散防止剤散布、がれき撤去の他、6月28日に1号機の原子炉建屋カバー設置工事に着手した。また、作業員のモチベーション向上のため、約1000人分の休憩施設を整備したほか、供食体制の充実、仮設寮の新設など、生活環境の改善も図られている。

ステップ2の達成時期は変わらず今後約3〜6か月だが、中期的課題への対応として、ステップ2の期間中、政府は安全確保の考え方を、これを受けて東京電力は施設運営計画を策定し、燃料プールからの燃料取り出し作業などに備える。

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政府・原子力災害対策本部は19日、原子力被災者対応に関する取組の進捗状況を発表した。

計画的避難では、飯舘村で97%、川俣町で99%等、指定された5市町村の大多数の住民が既に避難した。また、放射線量の評価では、約21万人以上にスクリーニングを実施したところ、健康に影響を及ぼす事例は確認されていない。


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