安全委 安全指針見直しで小委が始動 地震・津波、長期間の電源喪失など焦点

原子力安全委員会の安全設計審査指針類の検討のため新たに設けられた各小委員会が15日までに、初会合を行った。福島の原子力災害の教訓を踏まえ、抜本的見直しを図るもの。

地震・津波関連指針等検討小委員会(主査=入倉孝次郎・愛知工業大学客員教授)では、耐震設計審査指針の見直しに着手した。安全委では、06年に同指針を改訂しているが、今般の震災に鑑み、同指針および関連の指針類に反映すべき事項を再検討する。改訂耐震指針に基づき、既存の原子力施設に対する耐震安全性評価、いわゆるバックチェックを進めてきたが、検討小委では、これらバックチェックで得られた経験・知見に加え、特に、東北地方太平洋沖地震、それに伴う津波に係る教訓も踏まえ、文部科学省の地震調査研究推進本部、中央防災会議など、関係機関からも積極的に意見を求め、他の小委員会とも連携しながら検討を進めていく。

安全設計審査指針等検討小委員会(主査=山口彰・大阪大学工学系研究科教授)では、福島第一の事故で、長期間にわたる全交流電源喪失(SBO)に陥ったことから、現行の原子力発電所安全設計審査指針における「電源喪失に対する設計上の考慮」の項目について、速やかに見直し作業を進めることとした。初回会合では、安全委事務局より、今後の見直しに向けて、SBOに関するこれまでの検討経緯、海外の事例が説明された。

また、原子力施設等防災専門部会(部会長=中込良廣・原子力安全基盤機構理事)では、「原子力施設等の防災対策について」、いわゆる防災指針の見直しに着手した。

今般の原子力災害では、施設から半径20km圏内が避難区域となっている一方、現行防災指針で、原子力発電所の約8〜10kmとなっている「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(EPZ)を見直すほか、防護対策実施の判断基準となる線量についても、ICRPやIAEAの考え方の導入を検討していく。


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