米規制委のタスク・フォースが勧告 「体系的な規制枠組必要」

福島事故の情報と教訓を分析し、米国内の原子力発電所の安全性強化に役立てるために米原子力規制委員会(NRC)が設置したタスク・フォースは13日、発電所の規制事項・手続きに関して最初の90日間に実施した審査の報告書をNRCに提出した。「福島で発生したような一連の事象が米国で起こる可能性は低く、発電所は安全に稼働し得る」と宣言する一方、炉心損傷や環境への制御不能な放射能の放出を伴う事故は許されないとの認識の下、短期的および長期的に安全性を一層向上させるとともに、公衆に対してどの程度の防護レベルが適切か再設定するため、改善の必要な規制について、体系的な枠組の構築も含め12の包括的勧告事項を提示している。

米原子力産業界にとって、同報告書は原子力発電所の安全性強化に向けて今後数年間の土台作りとなる重要なものとの位置付け。改善を要すると指摘された分野は電源喪失から地震や津波、使用済み燃料プール、ベントおよび緊急時体制準備など多岐にわたっている。

タスク・フォースによると、過去数十年間にわたってNRCが実施してきた規制は設計ベースの事象に対する防護とその影響緩和を要求するアプローチの仕方で、その時点で最良の情報・技術を採用して項目毎に設定・補足してきた。その結果、重要だが相応の配慮がなされない規制要件の寄せ集めとならざるを得ず、今後はこれらを首尾一貫した規制の枠組みと取り換えるべきだと勧告。このような規制枠組の改善こそが現実的で達成可能なゴールになり得ると強調している。

今回、短期審査チームの指揮をまかされたNRC上級管理者のC.ミラー氏は、具体的な勧告事項は(1)防護の強化(2)事故影響の緩和促進(3)緊急時対応策の強化(4)NRCプログラムの効果の改善――の4分野に大別されると説明した。今後、原子力発電所の運転とNRCの認可活動を継続していく上で公衆の健康や安全に対し切迫したリスクは生じないものの、一番目の勧告として「一層バランスの取れた多重防護哲学を採用すれば、論理的で体系的、かつ理解し易い規制の枠組を提供できる」と提案。発生頻度は低いが影響が大きい事象への対処能力増強のために適切な要件を求める規制枠組となり、実質的な安全性の向上につながるとしている。(その他の勧告事項は表のとおり)

その後、同チームは19日にNRCと会見し、4か月近くに及んだ今回の作業について協議。28日には公聴会を開催し、8月17日にNRCの原子炉安全諮問委員会に出席する予定だ。

なお、長期的な分析調査を命じられたチームは6か月以内に行動勧告を含めた報告書を提出することになっている。


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