ストレステスト 全体的安全裕度を確認 機能の限界値明らかに

原子力安全・保安院は22日、福島の原子力発電所事故を踏まえた他の発電所への安全性総合評価、いわゆるストレステストの実施を各事業者に対し指示した。定期検査中で起動準備の整った原子炉を対象とする1次評価と、全発電所を対象とする2次評価からなり、地震・津波、安全機能の喪失に対する安全裕度などを評価するもの。

保安院は、原子力安全委員会に、評価の手法・計画について、15日に説明したのに続き、21日にも、評価対象とする安全上重要な機器、地震や津波に対する評価フローなどを整理した上で、再度説明した。例えば、地震については、安全委の耐震設計審査指針の基準を上回る地震動に対し、各建屋、系統、機器等の対象部位における評価値が許容値を超えることで、損傷、機能喪失するか否かを評価し、その限界となる値を求める。1次評価では、指針類や技術基準に規定された許容値との比較を行うが、2次評価では、構造健全性、機能が失われる限界値を明らかにするなど、全体的な安全裕度を明らかにする。また、当初は、2次評価のみだった地震と津波との重畳、シビアアクシデント・マネジメントが1次評価にも盛り込まれることとなったほか、評価の進め方には、「自らの発電所の有する余裕や潜在的な脆弱性を把握し、安全を向上させるためのプロセスの一環」として、本取組の位置付けも明確化した。

さらに、建屋、機器等の評価結果を踏まえて、安全設計における安全裕度に関しては、地震、津波等により、どの範囲まで損傷・機能喪失すれば、燃料の重大な損傷に至るかを評価し、安全上重要な機器等の一連の機能喪失が生じる「クリフエッジ」を特定し、潜在的な脆弱性を明らかにする。

保安院では、事業者に対し、提出期日を特定してはないが、定期検査で停止中、または稼働中で年内に検査終了予定の原子炉については、1次評価をまず行い、稼働中で年明け以降に定期検査実施予定の原子炉については、年内に2次評価を先行実施した後、次回定期検査からの再起動段階で1次評価を実施する。1次、2次評価とも、保安院が事業者からの評価結果を確認した後、安全委員会に報告されることとなる。


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