英国の原子炉新設計画 議会が政策声明書承認英国議会下院は19日、原子力の新設計画も含めた6件のエネルギー関係の国家政策声明書(NPS)を可決承認した。NPSは国内重要施設の建設に際し、当該施設の必要性やサイトの検討および影響評価の原則等、計画の青写真となるもの。エネルギー気候変動省(DECC)では、NPSの承認により、原子炉の新設に伴う不確定要素が取り払われ、電気事業者はイングランドおよびウェールズ地方の8か所で一層の確信を持って大規模な投資に踏み切れることになったと強調している。 原子力に関するNPSでは、オールドベリーやセラフィールドなど、原子力施設がかつて稼働、あるいは現在稼働中の8サイトを2025年までに原子炉の新設が可能な候補地として指定。今後は、これに従って独立の立場の基盤施設計画委員会(IPC)が個別の建設計画申請書について詳細を審査し、是非を判断することになる。ただし、昨年5月に発足したD.キャメロン政権は翌6月、「IPCは民主的な説明責任能力に劣る」とし、これに代わって閣僚らが参加する新たなインフラ計画審査システムを設置すると発表。現在審議中の「地方主義法案」が成立し次第、IPCは廃止され、そのスタッフおよび機能はコミュニティ自治省に移管されることになっている。 DECCのC.ヒューン大臣はNPSの決定について、「低炭素社会の実現に向けた計画が大きく前進した」と評価。英国内でのエネルギー供給が適正価格で保証できるようになるとしている。 EDFエナジー社談話英国で4基の欧州加圧水型炉(EPR)建設を検討しているEDFエナジー社は、同社が建設候補地に指名したヒンクリーポイントとサイズウェルがNPSのリストに入っていることから、「新設計画は1週間の間に2度目の大きな節目を迎えた」と歓迎。数日前、DECCが電力市場改革に関する白書を公表し、原子力を含めた低炭素電源への投資促進政策を提案したことを喜んだ。 同社は、議会によるNPSの承認は英国の原子力新設計画が政界のみならず一般国民からも幅広く支持されている証拠だと断言。この支持が福島事故後も変わらず維持されている理由として、英国ですでに確固たる安全基準が存在するほか、同事故からの教訓実施が確約されている点を反映していると指摘した。 同社によると、英国保健安全執行部(HSE)の主席原子力検査官でもあるM.ウェイトマン氏は福島事故の暫定報告書の中で、「英国原子力産業界は同事故に責任を持って適切に対応し、原子力発電所での安全確保と堅固な安全文化のためにリーダーシップを発揮した」と評価。英国で既存原子炉の運転を停止したり、新規原子炉の建設立地戦略を変更する理由は何もないと結論付けた点に言及した。 |
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