南相馬市 市民アンケート調査 放射線情報の提供希望

3月の福島第一原子力発電所の事故によって、市内が警戒区域(20キロ圏内)、計画的避難区域(事故から1年間に積算線量が20mSvに達する恐れのある地域)、緊急時避難準備区域(今後なお、屋内待避や避難の対応が求められる可能性がある30キロ圏内の区域)、何も指定されていない区域の4地域という複雑な管理区域をもつことになった福島県・南相馬市は17日、第2回復興市民会議(委員長=高橋亨平・原町中央産婦人科医院理事長)に、市民世帯を対象にして、震災状況、生活実態、今後の居住意向、就業意向などの把握を目的としたアンケート調査結果(速報)を報告した。

調査は6月に郵送での配布・回収で行われ、津波被害を受けた全1412世帯、全市的な意向把握を目的とした抽出世帯3600世帯の世帯主を対象にし、回答数は2874票、回収率は57.5%だった。

記入者は男性が7割で、5割が60歳代以上だった。

震災前の居住地は、持ち家が約9割、さらには居住年数も11年以上が約8割を超え、長期在住者が多い。現在の居住地は、震災前と同じ住居に居住している人は約4割、それ以外の約6割の人は震災で避難している状況だ。主な避難先は、福島県内では福島市(185)、相馬市(77)、郡山市(30)、二本松市(24)、いわき市(22)など。県外では宮城県(97)、新潟県(96)、山形県(82)、群馬県(62)、埼玉県(60)、東京都(56)などとなっている。

被害は一部損壊以上の被害を受けた市民は約5割を超えており、被害なしは約3割だった。今後の住まいとして、被災前と同じ場所に住みたい人が約6割、これまでと同じ区内に住みたい人が約2割となっている。しかし、被災を受けた人は同じ区域でも自宅から離れた場所に住みたいと感じている人も比較的多くいる。一方で、市外や県外に住みたい人も約1割いる。

今後の住まいの希望については、これまでと同じまたは近いエリアに住みたいという人の理由は、「愛着がある」、「親戚や知人・友人がいる」ことが多く挙げられている。南相馬市外、福島県外に住みたい理由は、「原発事故の影響が少ないから」が多かった。

放射線の安全対策として望むものは、希望の多い方から「放射線に関する情報提供の充実」、「モニタリングの充実」、「放射線に関する医療機関の整備」、「放射線測定機関の整備」、「放射線に関する学習機会の充実」、「放射線への相談窓口の充実」の順となっている。


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