政府 エネ安定化策発表 来夏、電力需給さらに逼迫 全国で1,656万kW不足 原発再稼働なければ

政府は7月29日、当面のエネルギー需給安定策を発表した。その中で、稼働中の原子力発電所が定期検査に入り、再起動しない場合、来夏には、国内全基が停止状態となり、電力需給の逼迫はさらに深刻化すると警鐘を鳴らした上、(1)原子力発電所の停止が広範に生じた場合でもピーク時の電力不足とコスト上昇を最小化(2)計画停電・電力使用制限・コストの安易な転嫁を極力回避(3)政策支援や規制・制度改革でエネルギー構造改革を先行的に実施(4)経済活性化策としてエネルギー需給安定策を位置付け(5)国民参加の対策として3年間の工程を提示――の基本的対処方針を示した。今後、秋を目途にエネルギー需給工程表を具体化する運び。

当面の電力需給動向について、(1)最大電力需要は昨年実績または各社の今後の見通しのいずれか高い方(2)原子力発電所は定期検査後の再稼働がない(3)火力発電所等は7月27日時点の供給力――を想定し、今夏、今冬、来夏のそれぞれ、東日本3電力(北海道、東北、東京)と中西日本6電力(中部、北陸、関西、中国、四国、九州)におけるピーク時の電力不足、電力コスト上昇の見通しなどを試算した。

それによると、今夏はピーク時、東日本で7.3%の電力不足、中西日本で予備率1.0%となり、今冬ピーク時は、東日本で1.1%、中西日本で0.4%の電力不足に陥る。さらに、来夏には原子力発電所がすべて停止し、ピーク時には、東日本で10.4%、中西日本で8.3%、全国で1656万kWの電力不足になると見込んでいる。

また、原子力発電の再稼働がない場合、火力による代替の結果、約2割のコスト上昇を招く可能性も指摘している。


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