エネ研 再稼働なしケースの場合 来夏にはGDP5.6%減

日本エネルギー経済研究所計量分析ユニット需給分析・予測グループは7月28日、2011年度および2012年度の「短期エネルギー需給見通し」を発表した。原子力発電については、(1)定期点検などにより現在停止中の原子力発電所が2011年9月以降に順次再稼働する「9月再稼働ケース」(2)定期点検などにより現在停止中の原子力発電所および今後定期点検入りする原子力発電所が再稼働しない「再稼働なしケース」――の2つのケースを想定している。

2011年度の1次エネルギー国内供給は震災や節電の影響を受けて、生産活動や経済が落ち込むことから、前年度比3.8%減となるが、2012年度には、震災からの復興により生産活動や経済の回復が見込まれるとし、同2.6%前後の伸びに回復すると見通している。

エネルギー起源のCO排出量については、9月再稼働ケースの場合、2011年度は原子力発電の稼働率低下に伴い火力発電の割合が高まるものの、エネルギー消費の減少に伴い前年度比1.2%減を見込んでおり、2012年度には再稼働による設備利用率の向上や新規プラントの運転開始を見込むものの、生産活動や経済の回復にともなうエネルギー消費量増加で同1.8%増となる。

一方、再稼働なしケースでは、2011年度には原子力発電所が順次停止していくことに伴う化石燃料消費量の増加で同3.2%増となり、2012年度には原子力発電所が全基停止するために発電用の化石燃料消費量が大幅に増加することから同9.3%増を見込んでいる。

再稼働なしケースでは、2012年度夏期に既存の火力発電をフル稼働させても最大電力需要に対して7.8%の供給不足が生じる。このことにより、2012年度夏期の実質GDPへの影響は、供給不足がない場合に比べて5.6%(7.7兆円)の減少になるとしている。


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