原子力損害賠償 中間指針まとまる 風評被害の範囲を整理

福島原子力事故に係る文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(会長=能見善久・学習院大学法務研究科教授)は5日、中間指針をとりまとめた。審査会が既に公表した第1、2次指針を踏まえ、事故が未だ収束せぬ状況下、賠償すべき損害として、一定の類型化が可能な損害項目・範囲を示したもの。産業界における風評被害についても、賠償範囲となる産品、産地などが整理された。

住民の避難等に係る賠償については、政府指示による避難区域、屋内退避区域、計画的避難区域の他、局所的に年間積算線量が高く推定されるとして新たに設定した特定避難勧奨地点や、自治体による一時避難要請区域(南相馬市)も対象区域となったが、自主避難に関しては、今後の検討事項となった。

風評被害の範囲に関しては、食用の農林水産物(畜産物を除く)では、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、埼玉の各県産のもの、水産物では、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の各県産などとなっており、事故発生以降、実際に生じた消費者の買い控えや価格低下による営業損害、検査費用等が賠償対象となる。牛肉では、7月8日以降に生じた被害について、東北・関東中心に全17道県で産出されたものが対象となった。また、福島県内に主な事業所のある食品産業でも、事故発生以降の製品買い控えなどが対象となっている。

観光業の風評被害では、放射能汚染に対する消費者の心理を踏まえ、福島の他、茨城、栃木、群馬の各県に営業拠点を置く企業も含まれることとなった。


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