福島事故調査 畑村委長、ヒア状況報告 延べ126人から聴取

福島原子力発電所事故調査・検証委員会の畑村洋太郎委員長(東京大学名誉教授=写真)は23日、東京・永田町の内閣府庁舎で、記者会見を行った。前回7月8日の全体会合以降、実施してきたヒアリングについて、これまでの聴取先は延べ126人、時間数で計およそ300時間などと述べたほか、詳細な聴取内容、調査・分析に関しては明らかにしなかった。同委では今後、9月27日に予定する次回会合までヒアリングを継続する。

ヒアリングは、調査委員会下に設置された4チームのうち、「社会システム等検証チーム」、「事故原因等調査チーム」、「被害拡大防止対策等検証チーム」により、各担当の調査項目に基づき、原則非公開で行われた。

畑村委員長の説明によると、「事故原因等調査チーム」では、東京電力より資料提出を受け、吉田昌郎・福島第一発電所長から、炉の損傷、水素爆発などの事態進展や、注水、ベントといった応急対策の経緯についてヒアリングを行ったという。「社会システム等検証チーム」では、土木学会の技術基準や原子力安全委員会の耐震設計審査指針における津波対策の検討経緯、成果の反映や、シビアアクシデント対策に関して、規制当局、事業者、専門家などから、ヒアリングを実施した。「被害拡大防止対策等検証チーム」では、避難対策、モニタリング態勢などの各種措置について、関係省庁・自治体、事業者から、これまでに計89人・135時間のヒアリングを実施したが、さらに継続することとしている。また、調査委員会では、前回会合以降、東海第二、女川の各原子力発電所と原町火力発電所を視察した。今後も、浜岡、柏崎刈羽原子力発電所を訪問する予定となっている。

これまでの所感として、畑村委員長は、「相対して自分の言葉で応えるのはものすごく大事」と、調査・検証過程での、ヒアリングの意義を強調したほか、委員会の掲げる「歴史的な評価に耐えられるもの」に関しては、地震・津波だけでなく、「巨大システムの構築がどうであったか」という視点に留意していることなどをあげた。


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