安達経産事務次官 松永・前次官とともに引継会見 「ピンチをチャンスに」改革に意欲経済産業省は、12日付で幹部人事異動を発令、退任する松永和夫事務次官に替わり、安達健祐・経済産業政策局長が就任した。同日、これに伴い新旧事務次官による記者会見が行われ、それぞれ就任に際しての抱負、在任中の所感を述べるなどした(=写真右が安達次官、左が松永前次官)。 退任する松永氏は、3月に発生した東日本大震災および原子力事故への対応を振り返る一方、日本の現状について、「震災が起こる以前から、ある意味では大変難しい経済的な危機の状況にあった」とも述べ、在任中に取りまとめられた「産業構造ビジョン2010」、これを軸にした新成長戦略に沿った産業の国際競争力強化など、「省として取り組むべき課題が山積み」として、新次官の手腕に期待をかけた。 一方、新任の安達氏は、事務次官の立場として、福島原子力事故を収束させ、被災地住民の安全で安心な生活、事業活動を取り戻すべく支援していくことを「肝に銘じている」とした上で、職員らには、「過去の例にとらわれることなく柔軟性と創造性を持って必要な改善・変革に取り組むことが必要」などと、「人心一新」の考えを強調した。また、当面の課題としては、まずは復興支援、その上でエネルギー政策と国内産業活性化をあげ、短期の対応と将来を見据えた中長期の対策とで時間軸を分けて考えるべきとした。今後のエネルギー政策に対する基本的方向性に関しては、「ピンチはチャンス」などと述べ、原子力事故や厳しい電力供給制約の危機的状況を乗り越え、国を挙げて検討していく必要を述べたほか、先のエネルギー・環境会議での方向性を踏まえ議論していく姿勢を示した。 原子力安全規制体制の見直しに関連して、経産省を去る松永氏は、原子力安全・保安院長の在任時に、規制を担う人材の確保に「大変焦りを覚えていた」などと振り返った上、規制当局の立場を離れた経験を積むこともレベルアップには必要とも指摘し、人材育成の難題に懸念を示した。また、安達氏は、「原子力の安全神話に陥っていたこと」を問題点に掲げ、今後、事故調査委員会の検証等も踏まえた抜本的見直しの必要を強調し、細野原発担当相のもと進められている具体的検討に、経産省として全面的に協力する考えを示した。 12日付で、退任する寺坂信昭・原子力安全・保安院長に替わり、深野弘行・商務流通審議官が就任。日本貿易振興機構副理事長に就任する横尾英博・資源エネルギー庁電力・ガス事業部長の後任に、糟谷敏秀・通商政策局通商機構部長が就任した。
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