政府・対策本部 除染対策で方針 推定被ばく量を半減へ

政府・原子力災害対策本部は8月26日、被災地域の除染に関する緊急実施基本方針を決定した。国、自治体、地域住民が連携し、今後2年間で汚染地域における一般公衆の推定被ばく線量を半減させ、長期的には年間1mSv以下となることを目標に、対応方針を取りまとめたもの。当面必要な経費として、概ね2200億円が見込まれており、速やかに精査の上、予算立てすることとしている。

事故から5か月を経た現在、未だ原子力災害被災者の避難生活が解消されていない状況下、去る9日に発表された避難区域見直しに関する基本的考え方を受け、今回、除染実施に対する基本的姿勢として、国は、県・市町村や地域住民との連携のもと、除染推進に責任を持って取り組むとしている。

推定年間被ばく線量が20mSvを下回っている地域でも、特に、放射線の影響を受けやすい子供の生活圏では、優先的に除染を実施し、推定年間被ばく線量で1mSv以下を目指すなど、緊急時被ばく状況にある地域を段階的かつ迅速に縮小することを暫定目標とした。

具体的目標としては、2年以内に汚染地域における一般公衆の推定年間被ばく線量を約50%減少することを掲げているが、風雨などの自然要因による減衰(ウェザリング効果)で、推定年間被ばく線量が約40%減少することから、除染を施すことによって少なくともさらに約10%削減して、目標を達成させる。また、園児・学童が活動する学校・公園については、特に念入りに作業を行い、子供の推定年間被ばく線量を2年以内に約60%減少させることを目指す。

除染は、線量水準に応じ、年間の積算線量が20mSvを超える可能性のある計画的避難区域では、高いレベルの技術を要することから、国が主体的に実施することとし、発電所から20km圏内の警戒区域についても、自治体機能の移転や立入制約の状況から、国が除染を実施することとしている。

また、自然被ばくなどを除いた追加被ばく線量が年間1〜20mSvの地域では、個別事情や住民のニーズを把握しているコミュニティ単位での計画的な除染が効果的と考えられることから、「除染実施ガイドライン」を示した上、市町村で策定する計画のもと、国も支援して実施する。

中でも、比較的高線量の地域、比較的低線量の地域では、それぞれ面的除染、局所的除染の必要があることから、効果・効率的な除染がなされるよう、国は、専門家派遣、資機材提供等を通じた支援を図る。

また、除染に伴って生じる土壌等の処理については、当面の間、市町村ごとに仮置場で管理するが、長期的な処分場確保に向けては、国が責任を持って対応すべく、早急にロードマップを立案することとしている。

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放射性物質による環境汚染への対処に関する特別措置法が8月26日、国会で成立した。今後、除染活動は、新法で構成される枠組みに、順次、移行していくこととなる。


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