米国で新たな原子力発電所建設構想 ユタ州に2基・300万kW

米国で新たな原子力発電所の建設計画が明確な輪郭を持ち始めている。中西部・ユタ州を本拠地とするエネルギー基盤開発会社のブルー・キャッスル・ホールディング(BCH)社は8月19日、ブルーキャッスル原子力発電所プロジェクトの事前サイト許可(ESP)申請に向けて、過去6か月にわたる現地およびその他におけるサイト特性調査活動が大きく進展したと発表。同州経済の活性化等を狙い、鋭意、計画を進めていく方針だ。

同社が具体的に実施したのは@現地での気象データ収集A地下水特性のモニター等による水文学調査B地質工学的なコア試錐活動を含むサイト応答分析――など。これらを補足する現地外活動としては、地球生態系および水生生態系のデータ収集、地元の人口や経済的なパラメータを特徴づける人口学的・社会経済学的データの収集に焦点を合わせたとしている。

2基合計で300万kWの原子力設備の建設で最適なサイトを選定するため、BCH社では数年前から広範囲な活動を実施していたが、「当初から見当を付けていたユタ州中東部のグリーンリバー近郊の適性を支持する重要な計測結果が得られた」と明言。米原子力規制委員会(NRC)の認可申請や州政府および地元自治体の許可申請に向けて満足のいく結果が得られつつある点を強調した。

BCH社では今年2月からESPの申請準備としてこれらの調査活動を開始。3月にはNRC宛ての書簡の中で、グリーンリバー近郊を建設候補地とする同プロジェクトのESPを2012年秋までに申請するほか、その12〜18か月後にはNRCの設計認証(DC)取得済みの原子炉設計を想定した建設・運転一括認可(COL)を申請する予定だと伝えていた。

また、同プロジェクトの用地購入契約を済ませるとともに、今後選定する原子炉設計の候補メーカーにも打診を始めたことを明らかにしている。

ユタ州では主に農業が重要産業の1つと位置付けられているが、BCH社では発電とその利用こそ同州経済の活性化および州民の生活レベル向上に重要な要素になると判断。現在、水資源の貴重な同州内で、火力発電所が全取水量の2.2%を使って総発電量の98%を賄っているが、原子力発電所なら全取水量の1%以下を使用するだけで年間232億kWhまでを発電可能であり、州内の発電量は約50%増加すると指摘した。

また、2基を建設する7年間に年平均で1000名〜2500名分の雇用が創出される見通しで、ピーク時の雇用は4000名分にのぼるとしている。


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