カナダのダーリントン原発 増設計画の審査が進展

カナダ政府環境省の環境アセスメント局(CEAA)は8月25日、ダーリントン原子力発電所(=写真)増設計画の環境影響について審査していた共同審査小委員会(JRP)が「(同計画により)環境に重大な悪影響が及ぶとは考えにくい」と結論付ける環境評価報告書を環境大臣に提出したと発表した。

JRPは今後、政府の対応を待って、原子力発電所建設認可手続きの第1段階である「サイトおよびプロジェクト概要の準備に関する許可(SPL)」を申請者のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社に発給する判断を下す見通しだ。

オンタリオ州の州営電力として州内のすべての原子力発電所を所有するOPG社は2006年9月、既設のダーリントン発電所の原子炉4基(各93.4万kW、CANDU炉)の隣に、新たに最大4基・480万kWの原子力発電設備を建設するためのSPLをカナダ原子力安全委員会(CNSC)に申請。供用年数は60年を想定している。

カナダではひところ、複数の州で原子炉新設計画が浮上。しかし、ブルース・パワー社が09年7月、電力需要の低下と経済不況を理由にブルース発電所増設計画およびハルディマンド郡ナンティコック原子力発電所新設計画のSPL申請を取り下げて以来、ダーリントン計画は同国内で唯一、SPL審査が継続中の建設計画となっている。

同計画では、環境相およびCNSCが09年10月に、独立の立場の専門家3名を同計画に関するJRP委員として指名した後、OPG社が作成した環境影響声明書(EIS)に関する審査や公聴会などが今年4月までに実施されていた。

JRPは、環境評価報告書に含まれているJRP勧告やOPG社自らが策定した影響緩和対策等を同社が実行すれば、同計画が環境に重大な影響を及ぼすとは考えにくいと明言。この判断に基づいてSPLが発給されれば、OPG社はサイトでの準備活動、および建設認可の申請に向けた作業の開始が可能になる。


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