原子力機構など 断用医薬品に初 加速器中性子で99mTc日本原子力研究開発機構、千代田テクノル、富士フイルムRIファーマが組織する原子力エネルギー基盤連携センターの中性子利用RI生成技術開発特別グループは8月18日、がん等の核医学診断に多用されている放射性同位元素テクネチウム99m(99mTc)を、加速器中性子で生成したモリブデン99(99Mo)から高純度で分離抽出し診断用医薬品に標識させることに世界で初めて成功したと発表した。 原子力機構の加速器からの中性子を、酸化モリブデン100Mo03試料に照射して99Moを生成すると、主成物99mTc以外にはわずかに半減期17時間のジルコニウム97(97Zr)と半減期1.2時間のニオブ97(97Nb)が99Moの0.2%生成されるのみであることが判明し、99Moと99mTcの分離は放射能の扱いが簡単で、小型の施設で行えることがわかる。また、不純物の強度は99mTcの0.01%以下で、放射性医薬品の核純度の規制値も満たしている。そして昇華法で抽出した99mTcは、がんの骨転移等を調べる診断時に使用する医薬品に対し99%の高い標識率で標識化することができ、放射性医薬品としての利用計画に明るい見通しを示している。 99mTcの親核種であるモリブデン(99Mo)は、国内で生産されていないため、近年輸入元の海外原子炉の高経年化に伴う故障による99Moの長期供給不足などの問題が多発しており、代替生成法が模索されていた。今回の成果で、加速器中性子により生成された99Moで99mTcを製造する新方式で既存の製品と同等の品質を有する99mTcを供給でき、将来的には、現在、原子力機構の材料試験炉JMTRで予定している99Mo製造を補完し、99Mo国内供給をより安定化することが期待される。 今後、99Moからの99mTc分離抽出効率を高めるとともに、既存の99mTcと同品質であることを明らかにしていく。 |
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