東京電力 技術課題見極め段階的に 燃料取出し作業案提示

武井一浩・東京電力原子燃料サイクル部長は、8月31日に開催された第2回東京電力福島第一原子力発電所における中長期措置検討専門部会で、福島第一発電所1〜4号機におけるプール並びに炉心からの燃料取出し作業イメージについて説明した。

プール内燃料取出しについては、まず、大型クレーンや重機を用いて原子炉建屋上部のガレキを撤去し、原子炉建屋を覆うカバー(又はコンテナ)を設置してプール燃料取出しに必要な天井クレーン、燃料交換機を設置する。次にプールから取り出した燃料を共用プールに移送するため、既存のキャスク技術を用いてキャスク・収納缶等を設計・製造する。共用プール内に既に貯蔵中の燃料を順次搬出して、空きスペースを確保し、受入に必要な隔壁、洗浄・検査設備、破損燃料用ラックを設置する。そして燃料の健全性を確認し、破損燃料は収納缶に収納した上で輸送容器に装荷し、搬出する。

炉心燃料取出しについては、格納容器へのアクセス性向上のため、高圧水、コーティング、表面はつり等などにより、作業エリアを除染する。格納容器と原子炉建屋の漏えい箇所を、手動あるいは遠隔の線量測定やカメラ等で調査し、格納容器外部からγ線測定や音響調査などで格納容器内の状況を推定調査する。損傷燃料の取出しは、水中で実施することが放射線遮へいの点で有利であるため、格納容器の漏えい箇所を補修・止水する。格納容器内調査に向け、下部を優先して実施する。格納容器下部に部分的な水張りを行い、格納容器内調査の結果、圧力容器から流れ出たと推定される損傷燃料の分布状況を把握し、サンプリング等を行う。

格納容器を満水まで水張りするため、上部漏えい箇所を手動または遠隔で補修する。十分遮へいが担保できる水位まで格納容器および圧力容器を水張り後、圧力容器の上蓋を取り外す。炉内を調査し、損傷燃料や炉内構造物の状態把握、サンプリングを行い、圧力容器と格納容器内の損傷燃料の取出しを実施する。

なお、いずれのケースにおいても今後の現場調査や技術開発に基づき、実現性を見極める為のホールドポイントを設置し、段階的に進める必要があるとしている。

また、続いて中村博文・日本原子力研究開発機構(JAEA)復旧支援部長より、第1回専門部会で東京電力から提示された中長期措置の技術課題をベースに、JAEA、東芝、日立GEにて必要とされる研究開発項目をまとめて発表した。主な課題として、人の近接を許さない高線量下での遠隔操作による建屋内除染技術、アクセス性の困難さが予想されるPCV、RPV内調査用遠隔装置や燃料デブリサンプリング技術、冷却水を循環させる中での格納容器漏えい個所の止水技術、PCV内への漏えい物を含めた燃料デブリ及び炉内構造物の取出しの為の遠隔操作による切断、搬出技術――を挙げた。


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