ブシェール原発、送電開始 イランの濃縮規模拡大に懸念

イラン国営の学生通信(ISNA)によると、今年5月に初臨界を達成したイランのブシェール原子力発電所(=写真)(ロシア型PWR、100万kW)が3日の深夜、国内送電網に接続された。

中東で唯一の商業炉となった同炉の現在の出力は、6万kW程度で様々な試験を実施中。12日に正式運開前の記念式典が執り行われる予定となっている。

ブシェール原子力発電所は1975年の建設開始当初は独シーメンス社が契約を受注したものの、79年のイラン革命により建設工事は停止。95年にロシアのアトムストロイエクスポルト社が完成工事を請け負った。昨年8月には、国際原子力機関(IAEA)が封印していた同炉用初装荷燃料が発電所敷地内に搬入されるも、炉心ポンプの損傷等により、運開は遅れていた。

同炉の燃料は、今後少なくとも10年間はロシアから供給されると見られるほか、同炉はナタンズにあるパイロット濃縮工場および商業規模の濃縮施設とともにIAEAの保障措置下にある。しかしイランは今後、100万kW級商業炉を少なくとも10基建設すると明言しており、2009年にIAEAに通達したコム市近郊の濃縮工場など、核兵器への転用が疑われる濃縮施設の規模拡大の可能性が懸念されている。


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