野田首相が初の所信表明 安全性確認して再稼働 原発依存度は引下げ

野田佳彦首相は13日、衆院・参院各本会議で、就任後初の所信表明演説を行い、「大震災がもたらした国難に立ち向かう重責を全力で果していく決意」を強調し、国民の理解と協力を求めた。

福島第一原子力発電所の事故については、先週、同原子力発電所の敷地内を視察し、「2000人を超える方々が、マスクと防護服に身を包み、被曝と熱中症の危険にさらされながら、事故収束のために黙々と作業を続けている」とし、除染作業に当っている自治体職員なども含め、さまざまな現場で働く人々に「もっと思いを致す必要があるのではないか」と訴えた。

そして、忘れてはならないのは「被災者、とりわけ福島の方々の抱く故郷への思い」であり、原発事故の収束を「国家の挑戦」と捉え、「福島の再生なくして、日本の信頼回復はない」と決意を語った。

今後も、「大気や土壌、海水への放射性物質の放出を確実に食い止めることに全力を注ぎ、作業員の安全確保に最大限努めつつ、事故収束に向けた工程表の着実な実現を図る」としている。

エネルギー政策については、「2030年までをにらんだエネルギー基本計画を白紙から見直し、来年の夏を目途に、新しい戦略と計画を打ち出す」方針で、今後、幅広く国民各層の意見を聞きながら、冷静に検討して行くとしている。

原子力発電については、「『脱原発』と『推進』という二項対立で捉えるのは不毛」としながらも、「中長期的には、原発への依存度を可能な限り引き下げていく、という方向性を目指すべきだ」と主張した。

一方で、既存の原子力発電所の再稼働については、安全性を徹底的に検証・確認した原子力発電所については、「地元自治体との信頼関係を構築することを大前提として、定期検査後の再稼働を進める」と明言。安全規制の組織体制については、環境省の外局として、「原子力安全庁」を創設して「規制体制の一元化を断行する」と述べている。


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