IAEA理事会で行動計画案採択 「3年以内に安全調査団」

12日からウィーンで開催されていた国際原子力機関(IAEA)の定例理事会は13日、福島原発事故後の世界の原子力発電所における安全対策強化に向け、加盟国の指針となる行動計画の最終案を全会一致で採択した。「すべての原子力発電所保有国が今後3年間に少なくとも1回、IAEAの運転安全調査団(OSART)を受け入れる」などの項目が盛り込まれたものの、文言は強制力を持たない表現に落ち着いており、議論の中では将来的に一層厳しい内容となるよう求める意見も出たと伝えられている。

同行動計画は、6月に開催した原子力安全に関する閣僚級会議の宣言に従って、IAEAの天野事務局長が35の加盟国で構成される理事会で案文を提示するよう要請されていたもの。最終案は19日から始まる年次総会にかけられる予定で、承認されれば実行に移されることになる。

同最終案における行動項目は、(1)福島事故を踏まえた安全性評価(2)IAEAの専門家による相互評価(ピア・レビュー)(3)緊急時体制と対応(4)国内規制機関(5)国際的な活動組織(6)IAEAの保障措置(7)国際的な法的枠組(8)原子力の新規導入計画国(9)人的資源などの基盤構築強化(10)人々と環境の放射線からの防護(11)コミュニケーションと情報伝達(12)研究開発――の12分野にわたる。

このうち、(4)の中では「規制の効果を相互評価するため、IAEAは総合的規制評価サービス(IRRS)を促進する」としており、加盟国内の規制の枠組評価のため、「原発保有国は自発的かつ定期的にIRRSを受け入れるとともに、3年以内にフォローアップ調査チームを受け入れる」と明記した。

また、(5)の一項として「原発保有国は今後3年以内にOSARTを少なくとも1回、自発的に受け入れ、高経年化した炉を中心に評価を実施。それ以降も自発的かつ定期的に同チームを受け入れる」としている。

さらに、(7)では、原子力安全条約といったIAEAの既存の法的枠組のほかに、「加盟国は国際的な原子力賠償法への加盟を十分に考慮する」よう要請。(8)では、新規導入計画国が最初の原子炉を起動する前に、「統合原子力インフラ審査(INIR)」により、建設サイトや安全設計などについて自発的に審査を受けるよう求めている。このほか、福島事故の情報伝達について、IAEAは日本と協力して引き続き完全な透明性を確保することが(11)に盛り込まれた。


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