首相 建設中は個別判断 国会での原子力論議 脱原発依存の方向性表明 公明党も同方向に舵切る

野田佳彦首相は初めて臨んだ臨時国会で、建設中の原子力発電所については、個々の状況を踏まえた上で、立地地域の意見も聞き、個別に検討する考えを表明した。一方で公明党は、3月の福島原子力発電所事故を受けて、今後の新増設反対の姿勢を明確に示し、燃料サイクルについても慎重な再検討を求めた。

15日の衆院本会議で野田首相は、エネルギー基本計画について白紙から抜本的に見直し、新しい戦略と計画を打ち出すことにしていると説明し、その際、総合資源エネルギー調査会の委員には、原子力に批判的な委員の数を増やす方針であることを明らかにした。

また、中長期的に脱原発依存の方向性を明示した上で、「現状では、原子力発電所の新増設は困難だ」との考えを示し、さらに建設中の原子力発電所については、「進捗状況もさまざまであり、個々の状況をしっかりと踏まえ、立地地域の方々の意見も踏まえながら、個別の事案に応じて検討していく」と述べた。

核燃料サイクルについては、関係閣僚によるエネルギー・環境会議で「原子力政策の徹底検証を行い、新たな姿を追求すると整理されており、今後、しっかりと議論を行っていきたい」と述べた。

公明党の井上義久・幹事長の代表質問に答えたもので、井上議員は「公明党はこれまで、太陽水素系エネルギー社会を目指し、それまでの過渡的エネルギーとして原子力発電を容認してきた」と述べた後、福島事故以降、「原子力発電に依存しない社会への移行に、今こそ本格的に取り組むべきと考える」と同党としての考えを表明した。

さらに、「今後、原子力発電所の新増設は基本的には行うべきではない。核燃料サイクルについても、現実性、安全性、経済性はもちろん、外交、安全保障的観点も含めて慎重に再検討すべき」と主張し、首相の考えを質した。


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