東北大・石井教授 水洗浄による除染 「粘土が福島を浄化する」

石井慶造・東北大学教授はこのほど、粘土質を用いた放射性セシウム汚染土壌の除染方法を発表した。セシウムが粘土質にしっかりと吸着される性質を利用したもの。

石井教授によると、粘土質に固定されたセシウムは(1)水に溶けない(2)酸及びアルカリ溶液にも溶けない(3)植物にも吸収されない――という性質を持っている。

実験は、まず汚染土壌に水を加えてかき回し、粗い粒子が沈殿した後、粘土が沈殿する前に上澄み液を取り除く。こうして残った土の放射線量は、1回の洗浄で洗浄前の4分の1に、2回の洗浄で25分の1に減少した。続いて、取り除いた上澄み液を15分放置すると粘土が沈殿。その際に分離した上澄み液には放射能が含まれていなかった。分離された粘土は元の汚染土壌の約8%の量となる。

実際、この方法で、福島県内の小学校と保育園で、計2900平方メートルの校庭・園庭から表面約40立方メートルの汚染土を取り除いて水で洗浄し、上澄み水を除去した放射性粘土(水を含んだ状態で約9立方メートル)をテトロン布製の袋に入れて洗濯機で脱水すると、抽出された汚染粘土約6立方メートルとなり、効果があった。

一方、山および平原でも、セシウムを吸着した粘土が雨で流されて河川に流入し、河口付近に沈殿、粘土に付いたセシウムは基本的に安定となると考えられ、雨による自然浄化も期待できると石井教授はみている。


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