学術会議 6つのエネルギー政策案 発電コストも試算

日本学術会議の東日本大震災対策委員会「エネルギー政策の選択肢分科会」(委員長=北澤宏一・科学技術振興機構理事長)は22日、「エネルギー政策の選択肢に係る調査報告書」を公開した。6月に発表した「日本の未来のエネルギー政策の選択に向けて――電力供給源に係る6つのシナリオ」の基礎とした要素や試算内容も含んだ詳細版。

6月発表の6つのシナリオは、福島第一原子力発電所の事故によって、今後、国内の原子力発電所をどうするかによって、「即廃止」から、「より高い安全性を追求しつつ将来も中心的なエネルギー源に位置付ける」まで、段階的に大きく6つの政策に分けて論じたもの。

今回の報告書の要旨では、「わが国の基幹エネルギーである原子力発電の深刻な事態により、エネルギー政策の基本的な議論を余儀なくされている」と前置きした上で、「エネルギーは人類が生きていく上で必須なものであるが、その政策に関わる議論は、現在世代と将来世代の間で地球環境と資源の便益配分の衡平性を左右すると言う、深淵な問題をも提起している」と捉えている。

6つのシナリオを提起してはいるものの、「どのシナリオを選択するかは国民の意思に基づく政策の判断」としており、「どのシナリオにも、大きな問題点や解決すべき困難がある。またその予測においても、科学的に見通せない不確かさが存在する」とも認めた上で、エネルギー選択には、@解決すべき課題とリスクがあるA国の安全保障も関わっているB時間的要素を考慮したビジョンが必要になるC何を選択するかに関わらず省エネルギーが重要な前提条件になるD国民の理解と合意が必要になるE諸外国の動向にも目を向ける必要がある──と指摘している。

今報告書では各シナリオごとの発電コスト(全電源平均)も示しており、積極的に原子力発電を導入するほど、発電コストは安価となっている。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで