慎重派含めゼロベースから エネ調・基本問題委 来夏エネ政策策定へ

福島原子力事故発生後のエネルギー政策見直しを行なう経済産業省の総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会(委員長=三村明夫・新日本製鉄会長)の初会合(=写真)が3日に開かれ、原子力への依存度や電力改革などを焦点に、中長期的なエネルギー・ベストミックスのシナリオを描く議論が始まった。委員は電力関係を除く企業トップ、有識者の他、原子力推進に慎重な立場をとる消費者団体、労働者団体からも招き入れたメンバー構成となっている。将来の国民生活や産業活動にとって重要であることから、初回会合には資源エネルギー庁の他、経産省の関係部局、他省庁からも多数出席した。

現行のエネルギー基本計画は、10年6月に「エネルギー自給率の大幅な向上とエネルギー起源COの削減」を掲げて策定され、30年度に原子力では、発電量全体のシェア53%、新増設14基以上といった絵姿を想定している。今後、同委員会では、月1、2回程度の議論を重ね、政府のエネルギー・環境会議とも連携の上、福島事故の検証、規制改革、原子力政策大綱見直しなども見据えながら、来夏を目途に、新しいエネルギー基本政策の策定を目指す。

キックオフに際し、枝野幸男経産相は、「妥協点を探るのではなく、根拠を明らかにし、地に足の付いた議論を」など、ゼロベースからの見直しを強調したほか、後世からの批判にも耐える徹底した議論を要請した。

委員からの発言では、安易な脱原発指向で引き起こされる経済活動の沈滞や使用済み燃料貯留による世代間不平等などへの不安、電力供給の脆弱化に伴う産業の空洞化を懸念する意見の一方、事故に伴う被害や廃棄物処分問題などから、原子力発電を早急に廃止し、再生可能エネルギーに移行すべきとする声もあった。また、議論の進め方に関する意見や、雇用への影響、地域の活性化、人材育成などへの言及もなされた。


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