避難準備区域を解除 「復興に向けた第一歩」 周辺5市町村、帰還へ準備

政府・原子力災害対策本部は9月30日、福島原子力事故に伴う「緊急時避難準備区域」の解除を決定、同日午後6時11分に公示され、4月の同区域設定以来、約5か月ぶりの解除となった。今回解除に際し、野田佳彦首相は、「復旧、復興に向けて着実な一歩を踏み出している」として、事態の収拾への進展を認識するとともに、原子力災害からの再生・復興に向け、「切れ目なく取り組み、国が最後の最後まで責任をもって対応をしていきたい」などと述べた。

「緊急時避難準備区域」は、福島第一原子力発電所の事故状況が安定していないところ、住民が緊急時に屋内退避や自力避難ができるよう喚起すべく、同所から20km圏外の広野町、楢葉町、川内村、田村市、南相馬市の五市町村にわたる区域に指定され、約2万6000人が避難を行った。7月中旬の事故収束ロードマップのステップ1終了により、発電所の状況が著しく改善したことから、原子力災害対策本部は8月9日、「緊急時避難準備区域」解除の妥当性を確認できたとし、当該市町村による復旧計画策定が完了した段階で、同区域の一括解除を行う方針を示した。これを踏まえ、当該五市町村から原子力災害対策本部へ復旧計画が提出され、首長との意見交換、原子力安全委員会の助言などを経て、今回の解除となった。

政府では、各自治体の復旧計画を踏まえ、引き続き、環境モニタリングや除染を推進するなど、住民帰還の実現に向け万全の対応を図ることとしている。

実際、復旧計画では、国に対して、学校、病院・福祉施設、生活インフラ、除染、その他の関連で多くの要望事項が挙がっており、指定が解除されたものの、今後の住民帰還スケジュール確立に向けたヒアリング、除染実施の技術面、財政面での支援など、課題も多く、避難住民の帰還が本格化するには、まだ時間がかかりそうだ。

なお、「緊急時避難準備区域」解除により、原子力災害に伴う国の応急対策区域の指定は、「警戒区域」と「計画的避難区域」となったが、これらについては、ロードマップのステップ2完了後に、縮小の可否など、所要の見直しが行われることとなっている。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで