政府の経営・財務委が報告 原発再稼働と料金値上げが焦点 福島事故を受け東電の事業内容を精査

政府の「東京電力に関する経営・財務調査委員会」(委員長=下河辺和彦弁護士)は3日、福島事故後の東京電力の経営・財務状況を調査した最終報告書を野田佳彦首相に提出した。

東京電力が5月20日に報告していた合理化計画規模より約2倍以上となる今年度からの10年間で2兆5455億円のコスト削減を求める厳しい内容となった。

今後の国民負担の最小化と電力の安定供給を確保するとの観点から、当面10年間の東京電力の事業計画を検討してきたもの。財務内容を大きく左右するのが、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働ができるかどうかということと、どこまで電気料金の値上げを認めるかという点。

原子力発電所の再稼働については3ケースに分けて試算し、メインケースとして、柏崎刈羽原子力発電所が来年度から26年度にかけて順次稼働するケースから、一番厳しい柏崎刈羽の全機、福島第一・第二の全機、東電・東通1号機、大間原子力発電所からの受電を織り込まないケースまでを想定した。

同報告書では「積み残された課題(例)」として、(1)政府と電力事業体との関係の見直し(2)総括原価方式に代表される電力事業に係る各種制度・政策の再検討(3)地域独占を前提とした電力事業構造のあり方(4)発送電分離の検討(5)原子力事業の運営主体やリスク負担の見直し(6)原子力発電のバックエンド費用(7)天然ガスなどのより効率的な調達の仕組み──を挙げている。

料金制度などは他の電力会社も含めて制度全体の見直しを進めるべきとも指摘している。

今後、原子力損害賠償支援機構と同社が10月中にも策定する特別事業計画で、具体的にどう盛込まれるかが焦点になる。


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