安全庁設置へ顧問会 座長に 松浦元安全委長

細野豪志・原発担当大臣のもとに進められている原子力安全規制組織改革の具体化を検討する「原子力事故再発防止顧問会議」の初会合が4日開かれた。規制改革の方向性については8月、原子力安全・保安院を経済産業省から分離し、その役割を担う「原子力安全庁」を環境省の外局として、12年4月に設置することを1つの柱とした基本方針が閣議決定されている。

冒頭、細野大臣は、8月に関係閣僚了解を図った基本的考え方に掲げた「規制と利用の分離」、「一元化」、「危機管理」、「人」、「新安全規制」に沿って、それぞれの検討課題を提示した。

顧問会議の座長に選任された松浦祥次郎氏(元原子力安全委員長)は、審議開始に先立ち、これまで一貫して原子力安全確保に関わってきた自身の経歴を紹介した上で、今回の福島事故については「忸怩たる思い」と述べ、強力な新組織作りに向け、有意義な議論がなされるよう各委員らに期待した。

委員からの発言では、「原子力ムラ」の組織文化に批判的考えを示す飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長が、「市民社会に軸足を置いた」実質的な安全規制体制を求めたほか、「コンセンサス会議」を提唱する北村正晴・東北大学名誉教授も、市民への説明責任の重要性を強調した。

立地地域からは、川勝平太・静岡県知事が、東海地震の脅威、原子力事故時の新幹線や高速道路への影響にも触れながら、新組織における現場対応力の構築を強く訴えた。

また、環境省審議会に携わる鈴木基之・東大名誉教授は、新組織が行政体制にうまく溶け込めるよう、人材確保も含めた長期的なグランドデザインを描いていく必要を求めた。


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