原子力安全チーム設置 IAEA「行動計画」を早期実行

国際原子力機関(IAEA)は9月26日、年次総会で採択された福島原発事故後の原子力発電所安全対策強化に向けた「行動計画」を早急に実行に移すため、専門の所管組織となる原子力安全行動チームを設立した。天野事務局長のリーダーシップの下、同事故の教訓から打ち出された様々な対応策が直ちに効力を発揮するよう、最善を尽くす方針だ。

同チームはIAEAの原子力安全・セキュリティ局のD.フローリ事務局次長(=写真)をトップに同局内に設置。原子力施設安全部のG.カルーソ規制活動セクション長を特別調整官に任命しており、事務局長の政策事務室と緊密に連携しながら、12の分野にわたる行動計画を実施していく。その一環として、すでにIAEAによるストレス・テストの実施要目を策定中で、10月中にも準備が整う予定だ。

IAEAはこのほか、9月21日に、既設の「事故・緊急事態対応センター(IEC)」における新たな情報コミュニケーション手段として、「事故および緊急時の統合情報交換システム(USIE)」を福島事故後の6月からウェブサイト上に立ち上げたと発表した。

IECは2005年、原子力事故時に加盟国の要請に応えるとともに、加盟国間の仲介・調整を行うため、IAEAが本部に設置した支援調整組織。緊急時対応の調整には詳細かつ信頼性の高い情報の持続的な流通が欠かせないとの観点から、IECは09年からUSIEの開発に着手した。

USIEでは既存の2つの連絡システムを統合・簡素化することにより、緊急時に情報交換の効率化を図るのが狙い。これまでのシステムが異なる種類の事象ごとに分かれていたのに比べて、USIEでは登録ユーザーが放射線源の紛失から本格的な原子力事故に至るまで、すべての事象についてモバイル機器や電子メール、FAXなどを通じて警報を得られる。

また、複数の事象に関する情報の追跡が可能で、事故発生国が確証した信頼性の高い情報が提供されるとしている。


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