基金への払い込み3倍に スウェーデン 処分場建設費用で

スウェーデン環境省の下部組織である放射線安全機関(SSM)は7日、商業炉からの使用済み燃料を含む放射性廃棄物管理のために事業者が廃棄物基金に払い込む金額を、現在のkWh当たり1オーレから3オーレ(約0.345円)に引き上げるよう政府に勧告した。

同基金は使用済み燃料処分のための研究開発から中間貯蔵、処分場のサイト選定、および建設・操業・閉鎖までの経費を賄うため、スウェーデンの資金確保法に基づいて設置された。1kWh当たりの料金単価は、まず事業者による見積経費をスウェーデン核燃料廃棄物管理会社(SKB)が取りまとめてSSMに提出。それを元にSSMは翌年から3年間適用する金額を政府に提案し、事業者別に政府が決定している。

これまでの3倍という大幅な引き上げの理由として、SSMは「廃棄物処分場の建設に必要な経費の一部が約180億クローナ分増加したため」と説明。処分場建設のために国内の電力事業者4社で設立したSKBが、今後必要となる経費を過小評価していたことから、これを調整する必要があるとしている。

スウェーデンにおける使用済み燃料の深地層最終処分計画では、2009年6月にSKBがエストハンマルにあるフォルスマルク原子力発電所の隣接エリアを建設サイトとして決定。今年3月には立地建設許可をSSMに申請した。

処分場のシステム設計に関するコンサルティング業務については、SKBが12のエンジニアリング企業を選定、今月17日までの予定で入札書類を受付けている。SKBとしては12月中旬にも契約にこぎ着けたい考えで、順調に進めば2016年に着工し、2020年代に操業を開始。約1万2000トンの使用済み燃料を地下500メートルの岩盤上に定置することになる。


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