ステップ2達成「年内目標」明記 東電・福島第一「道筋」進捗状況 滞留水処理12万トン超え 1〜3号炉 冷温停止状態へ前進

政府・東京電力統合対策室は17日、福島第一原子力発電所事故収束に向けた「道筋」の進捗状況を発表した。「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている」ことを目指すステップ2の完了時期を、今回、「年内を目標」と明記したのを受け、同日、東京電力本社で記者会見に立った園田康博・内閣府大臣政務官(原発担当、=写真中央)は、その達成に向け「全力を挙げる」と述べた。

東京電力は、4月に「道筋」を公表以降、毎月進捗状況を発表しており、今回は6回目となる。7月に完了したステップ1(放射線量が着実に減少傾向)に続くステップ2の「年内達成」が、前回の9月時点では、細野原発担当相発言による「努力目標」となっていたが、原子炉の冷温停止状態への進展を受け、今回はロードマップ上に明記した。10項目に整理された課題のうち、前回完了した「燃料プール」の他、「滞留水」、「津波・補強・他」を合わせ、計3項目でステップ2の目標を達成、建屋内の滞留水を処理し、原子炉冷却に再利用する循環注水冷却では、13日時点で既に、累計約12万8140トンを処理しており、豪雨や処理施設の長期停止にも耐えうるよう、冷温停止状態達成に向け継続中だ。

一方、原子炉では、圧力容器底部温度が15日時点、1号機74℃、2号機83℃、3号機73℃で、1〜3号機とも100℃以下に到達しており、格納容器からの放射性物質の放出量も、約1億ベクレル/時(暫定値)と、事故時の約800万分の1にまで減少している。

また、地下水経由の海洋汚染拡大を防止する遮水壁の設置準備も10月末頃の着工に、1号機原子炉建屋カバー設置も同月中の完成が見込まれるなど、「抑制」の取組も進展しているほか、現場の厳しい環境に留意した作業員休憩施設も、前回の17か所1200人分から、20か所1500人分に拡張、アメニティも充実してきており、生活・職場環境の改善も図られてきた。さらに、データベースの構築や被ばく線量に応じた検査指針など、作業員の長期的な健康管理のあり方についても検討が行われた。

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東京電力は17日、原子力安全・保安院からの福島第一1〜4号機に対する「中期的安全確保の考え方」に基づく施設運営計画と安全性評価の報告要請を受け、要求事項のうち、循環冷却システムに関連する設備等について、文書を提出した。

保安院は、これを受け、来る22、23日にそれぞれ、専門家による意見聴取会(福島・いわき市)と現地調査を実施する。


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