事故リスクコストを検討 原子力委 モデルプラントで試算原子力委員会の原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会(座長=鈴木達治郎委員長代理)の第2回会合が13日、都内のホテルで開催された。政府の「コスト等検証委員会」から11月上旬までの報告を要請されている中で、今回は「原子力発電所の事故リスクコスト試算の考え方」を審議した。 東京電力の福島第一原子力発電所の事故を踏まえて、賠償費用、除染費用、追加的な廃炉費用などが現実に発生していることを念頭に、原子力発電が有する将来顕在化する可能性のあるコストを算出することが求められている。 事故リスクのコスト試算の考え方としては、政府のコスト等検証委員会が基本としているモデルプラントについて、損害費用に事故発生頻度(炉年当たり)を掛けて計算する。 損害費用の試算方法は、モデルプラント(直近7年間に稼働したプラント=ABWR)を想定し、炉心溶融などの過酷事故(シビアアクシデント)による原子力災害を仮定して、予測し得る損害額を試算する。原子力損害は、福島原子力発電所事故による東京電力経営・財務調査委員会が試算した損害額などの公表された数値を参考にする。同試算では2年間で約5兆7000億円と試算しているが、確定しているものではない。 同小委員会では、米国TMI原発事故、旧ソ連チェルノブイリ原発事故と福島第一原発事故との大気中への放射能放出量、急性死亡者数、推定潜伏死亡者数、汚染面積、避難者数などを比較し、損害額も比較している。それによると、前者は1.6〜25.6兆円、後者は約4000億円としている。 もう一方の事故発生頻度については、国内の商業炉の炉心損傷頻度として自然災害的外的事象を含まないで、10のマイナス6乗(100万分の1)/炉年としている。ただ、福島第一1〜3号機の今回の炉心溶融事故を勘案すると、日本の商業用原子力発電所の運転炉年は1423炉年(2011年3月末、廃止プラントを含む)であることから、2.1×10のマイナス3乗/炉年。世界では原発運転炉年が1万4424炉年(同)であり、福島第一の3基、TMI2号機、チェルノブイリ4号機の計5炉の炉心溶融事故で、炉心損傷確率は3.5×10のマイナス4乗/炉年に上昇する。次回は25日。 |
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