ベラルーシの原子力導入計画 露と建設契約に調印

ベラルーシ政府は11日、同国初の原子力発電所建設計画でロシアの原子力建設輸出企業であるアトムストロイエクスポルト(ASE)社との契約合意文書に調印した。

チェルノブイリ事故では最も甚大な汚染被害を被ったベラルーシだが、天然ガスなどの輸入依存からの脱却を目指し、福島事故後初めて、原発建設で契約調印に踏み切ったもの。初号機は2017年に、2号機は18年にも完成させる計画だ。

今回の契約文書には、ベラルーシ原子力発電所建設局のM.フィリモノフ局長とASE社のA.グルホフ総裁が調印。リトアニアとの国境に近いオストロベツ村に、出力120万kWのロシア型PWR(AES−2006シリーズ)を2基、ターンキー契約で建設する同計画について、基本的な契約条項が明記された。ロシアが総工費の94億ドルを融資するなどの項目も盛り込まれており、その調整手続きはほぼ完了したとしている。

同計画ではすでに2004年から、サンクトペテルブルクを本拠地とする総合エンジニアリング企業のアトムエネルゴプロエクト(AEP)社が、サイトや原子炉設計の選択から環境審査など、すべての段階でベラルーシを直接的に支援。08年11月にはロシア型PWR(VVER)設計の導入を優先する旨、ベラルーシ政府がロシア政府に書簡で通達していた。

また、翌09年5月になるとベラルーシは両国間の原子力協力の枠組となる平和利用協定案に調印。福島事故後の今年3月中旬には、両国はベラルーシ初の原子力発電所建設に関する二国間協力合意文書に調印するとともに、今回の契約文書調印を可能にする法的な基盤整備を始めていた。

ロシアから導入するAES−2006シリーズは安全系に動的システムと静的システムを組み合わせた第3世代プラス原子炉で、すでにレニングラード原子力発電所2期工事で同設計の原子炉建設が始まっているほか、計画中のバルチック原子力発電所でも採用が決定。原子炉建屋が二重構造となるだけでなく、内部の水素ガスや熱を除去するシステムも装備されるという。

また、ベラルーシは同設計であれば12段階のMSK震度階級で下から七段階目の地震に耐えられると説明。国際原子力機関の勧告および欧州電力会社要求事項(EUR)を考慮したロシア連邦の原子力規制と法的な要件も満たせるとして、その安全性を強調している。


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