東電 特別事業計画発表 要賠償額1兆109億円と試算 支援機構とともに 「親身・親切」な取組を東京電力と原子力損害賠償支援機構は4日、福島原子力発電所事故に伴う被災者への迅速な賠償と、その実現のための経営改革に向けた「緊急特別事業計画」を公表した。同社は10月28日、法律に基づき、原子力損害賠償の支払い等を支援する同機構に対し、資金援助の申請を行うとともに、国に対して二者共同で特別事業計画の認定を申請し、同日、国からの認定を受けて、正式発表となった。認定に際し、主務大臣の枝野幸男経済産業相は、「国民から一時的とはいえ巨額のお金を借りる重責」とした上で、被災者への親身な取組がなされるよう求めた。 今回の特別事業計画では、原子力事故による被災者の苦痛・不安から、「もはや一刻の猶予も許されない」との現状認識のもと、賠償請求手続きの改善等や確実な賠償金支払いにより安心を確保すると同時に、経営合理化の具体的道筋を明示することを当面の課題として取りまとめている。今後の東京電力の経営のあり方については、中長期的視点から抜本的改革に向けて見直しを図り、来春を目途に、同計画を改定した「総合特別事業計画」として示されることとなった。経営改革に当たっては、政府の経営・財務調査委員会の報告書で示された「10年間で2兆5455億円」を超えるコスト削減を達成することとしている。 損害賠償に関しては、国の審査会が今夏に示した中間指針の基準に基づき、現時点で合理性をもって確実に見込まれる要賠償額を1兆109億800万円と見通し、迅速かつ適切な実施に向け、単に「請求を受けた金額を支払う」ということではなく、被災者の困難を認識し、「親身・親切」な賠償に向け、東京電力、支援機構ともに「全力を尽くす」ことを述べた。 その上で、東京電力は、「5つのお約束」として、(1)迅速な賠償の支払い(2)きめ細かな賠償の支払い(3)和解仲介案の尊重(4)親切な書類手続き(5)要望への誠実な対応――のもと、具体的取組に着手し、機構は賠償手続き全体の「道しるべ」役として、専門家チームによる巡回相談、賠償実施状況のモニタリング、被害者の声の伝達を中心に、「親身・親切」な賠償の確保を図る。 一方、東京電力の事業運営については、電力の安定供給を確実に果たしつつ、「事故により迷惑をおかけしている皆様への対応」、「福島第一原子力発電所事故の収束・安定化」、「経営合理化」に重点を置くことを基本方針とし、特別事業計画の確実な履行に向けて、機構とともに「経営改革委員会」を設置するなど、協働体制を敷く。また、経営合理化のため、設備投資計画等の見直し、コスト削減、資産等の売却などを実施していくこととしている。 |
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