電源喪失と除熱不能が主因 原技協 福島事故、徹底的に分析

日本原子力技術協会は10月27日、福島第一発電所事故を受け、産業界の立場から今後、取り組むべき対策を取りまとめ提言した。イベントツリーにより、「どのような要因で事故に至ったのか、何が事象を収束と拡大とに分けたのか」をたどっていく「なぜなぜ分析」を行い、抽出された課題を整理・集約し、教訓を挙げたもの。

同協会は、「事故を原点に立ち返って冷静に原因を分析し、その中からできる限り多くの教訓を汲み取って、わが国の原子力発電所の一層の安全性向上に資するとともに、その様を社会に発信していくこと」を、最優先課題ととらえ、検討会を立ち上げて、事象の経緯と事故原因の分析、教訓の抽出を進め、諸対策を取りまとめた。今回の検討は、地震発生・津波襲来から炉心溶融と水素爆発を含めた初期の5日間の発電所内での事象に限定している。

提言では事故拡大の要因として、(1)全交流電源の供給不能(2)原子炉からの除熱不能(3)建屋への水素漏えいと水素爆発――を挙げ、課題を抽出した。一番の要因としては、「安全系機器を駆動するための電源が喪失したことにより、従属的に多くの安全系機器の機能が喪失したこと」としている。


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