原子力維持で議論 総合エネ調 「国民的関心高い」

経済産業省の総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会(委員長=三村明夫・新日本製鉄会長)は9日、原子力の社会的・技術的リスク、暮らしの視点から見たエネルギー・ベストミックスを中心に、委員からプレゼンテーションを受け議論した。

冒頭、枝野幸男経産相が過去2回開かれた同委員会のインターネットライブ中継には3万件を超すアクセスがあったことなど、エネルギー問題への国民的関心が高いことを述べ、有意義な議論がなされるよう期待した。

プレゼンテーションでは、田中知氏(東京大学)が、原子力の技術的・社会的リスクと安全性確保に関する課題を整理し、エネルギー政策と技術立国としての観点から、日本が原子力を推進する意義を述べた上で、「30年以降も一定規模で原子力を維持することが適切ではないか」などと、将来のベストミックスについての考察を示した。リスクに関しては、先に原子力委員会がまとめた事故コスト評価や、米国の共済制度を参照した損害賠償試算にも言及した。

社会的リスクに関連して、八田達夫氏(大阪大学)は、原子力発電で発生する費用の利用者負担の考えに立ち、使用済み燃料処分や事故時の損害賠償の費用などから、原子力政策については、「費用と便益を再評価して根本的に見直すべき」などと指摘した。

伴英幸氏(原子力資料情報室)は、原子力発電には「国民合意はない」として、資源制約のないエネルギーへの転換を目指し、「速やかに原発を停止し、当面は火力で代替しつつ、順次再生可能エネルギーによる発電に移行する」選択肢の検討を掲げた。

次回会合は、16日に、ファン・デル・フーフェンIEA事務局長を招き、国際情勢とベストミックスについて、議論する予定。


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