7年前試算より若干減 原子力委 燃料サイクルコスト試算原子力委員会は10日、政府のエネルギー・環境会議「コスト等検証委員会」から検討を依頼された(1)原子力発電の核燃料サイクル費用(2)原子力発電の将来リスク対応費用──の考え方・算出について、検討してきた原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の座長を務めた鈴木達治郎・委員長代理から試算結果の報告を受け、同委員会としてコスト等検証委員会に回答する見解を取りまとめた。 それによると、原子力発電所はモデルプラント(出力120万kW、過去7年間に建設された軽水炉を基準)の燃料サイクルコストを試算。使用済み燃料の一部を中間貯蔵したのちに再処理する現状モデル(再処理50%、中間貯蔵後に再処理50%)のコストは1kWh当たり1.39円となった。 これを前回試算を行った04年時点と比較すると、ウラン燃料コストは上昇したが、再処理時期が3年から20年に遅れたことから、割引率3%の場合、現在価値換算の結果、コストが同0.08円安くなった。 コストの感度解析の結果、燃料サイクルコストを支配するコスト成分は、再処理コストとウラン価格であり、埋設処分コストは、それほど大きな影響力をもたないことが分かったとした。 一方、原子力発電の将来リスク対応費用の算出に当っては、福島第一原発事故を受けて、事故リスクコストを算出した。算定に当っては、「損害期待値」の考え方を採用した。損害期待値は、損害費用に事故発生頻度を掛け、総発電量で除したもの。損害費用は福島事故の実例を参考にし、モデルプラントに換算して、約5兆円と仮定した。事故発生頻度については、委員の意見が分かれたものの、福島事故以降の追加安全対策を考慮し、今後建設を想定するモデルプラントのコストを算定するとの前提から、IAEAの安全目標である1×10のマイナス5乗/炉年(10万炉年に1回の過酷事故=世界で230年に一度の割合)に基づいて試算すると、1kWh当たり0.006円〜0.008円となった。 |
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