韓国の新たな原子力推進5か年計画 代表的な輸出産業に育成

韓国の教育科学技術部は21日、来年から2016年までの5年間の原子力開発利用政策を示した「第4次・総合原子力推進計画」を公表し、安全性を強化した独自の原子炉設計や中小型炉等の開発により、原子力を同国の代表的な輸出産業の1つに育成することを確認した。福島事故後も原子力発電のみならず、核医学利用や廃止措置および新規導入国支援など、幅広い分野で原子力を推進、世界を舞台に活動を展開していく方針だ。

この計画は1997年から5年毎に改訂されているもので、同国の金滉植首相が議長を務める原子力推進委員会で審議した末、決定した。今回の第4次計画から、原子力安全規制の部分は原子力安全委員会で別途、安全総合計画を策定することになったが、主要推進項目として韓国を世界の主力原子力国家とするビジョンが明示されるとともに、一層安全な原子力の推進がスローガンとなっている。

そのため、福島事故後の今年4月に原子力施設で実施した安全検査に基づき50項目の行動項目を実行に移すとともに、最大規模の自然災害に対する安全確保を目的に、安全研究費用を今年度の301億ウォンから12年度は350億ウォンに増額することになる。

IT事業や造船に次ぐ代表的な輸出産業として原子力産業を育成していくため、国際的な安全要件を満たした技術革新を通じて、独自の安全な商業炉や中小型炉、研究炉を開発。原子炉の運転・保守のみならず、廃止措置についても世界市場への参入を図る。現在世界で稼働中の原子炉約440基のうち270基が2040年までに閉鎖時期を迎えれば、約900億ドル規模の廃止措置市場が形成されるとしている。

韓国政府はまた、原子力の核医学利用拡大措置として、15年までに悪性がん治療のための重粒子線加速器を建設。医療用放射性同位体を安定的に供給可能とするシステムを構築する。第5次電力需給計画では、来年から16年までに新たに6基の原子炉着工が予定されていることから、海外ウラン鉱山の権益取得により、ウランの自主開発率を昨年実績の6.7%から16年には25%まで引き上げる考え。

さらに、原子力分野における韓国の経験と実績に基づき、原子力の新規導入検討国には、関連法や規制体制、基準の策定等、インフラ整備も含めて支援するとしている。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで