「透明性」「国際性」追加 再発防止顧問会議 改革に向けての7原則

政府の「原子力事故再発防止顧問会議」(座長=松浦祥次郎・元原子力安全委員長)は11月22日、原子力安全規制改革に向けた提言の骨子を示し議論した。8月の政府による改革基本方針に掲げられた「規制と利用の分離」、「一元化」、「危機管理」、「人材の育成」、「新安全規制」の5原則に加え、「透明性」と「国際性」も合わせた「改革に向けての7原則」に基づき、進めるべき具体的対応策、中長的課題を座長試案としてまとめたもの。顧問会議は次回、2日に会合を開き、年内にも方向性を打ち出す運び。

提言骨子は冒頭、原子力事故で「国民の信頼は地に堕ちた」とし、さらに、シビアアクシデントを防げず、国民生活に甚大な影響を及ぼしたことについて、「真摯に反省する必要がある」などと、原子力安全行政に対する警鐘を鳴らした上で、現行仕組みを「存続させることはできない」として、原子力安全規制組織の抜本的見直しの必要を改めて強調した。

政府が基本方針に示す改革に向けた五原則については、いずれも重要かつ欠くべからざるものと評価する一方、ポイントとして「組織の判断が最新の科学的知見に従って客観的に行われることを担保する」ことを指摘し、政府に対し、今後の具体的制度設計に当たって、留意すべき事項を述べた。また5原則に加え、顧問会議として、迅速かつ正確な情報公開を通じた「透明性」の確保により国民の信頼性を醸成すること、「国際性」のある組織・人材・規制を確立し、原子力安全に関する国際協力体制の構築をリードしていくことを掲げている。ことに、「透明性」に関して、国民の安全に直結する情報は、「どのような理由があっても、速やかに公開すべき」などと強調している。

12年4月の新設を目指す「原子力安全庁」の独立性確保の要件としては、新組織下に置かれる「原子力安全審議会」の「第三者性」とともに、自身で独立した判断が行えるよう仕組みを整え、基礎となる技術的能力を備えることをあげた。現行の「ダブルチェック」に関し、「一面形骸化し、同時に規制機関とチェック機関との役割分担の不分明さを招いた」との反省に立ち、審議会の性質としては個別の許認可等には関与せず、安全規制の実効性や改善についてチェックし、主務大臣らに勧告する権限を与えることが適当との考えを述べている。また、新組織を環境省の下に設置する方向については、同省がこれまで地球温暖化対策を推進する観点から、「原子力政策に依存していた事実は受け止めなければならない」としながらも、今回の事故に伴う放射能汚染対策への最前線での取組や、環境汚染に対する規制行政としての経験・実績などから、原子力安全行政を担う十分な意義があるとしている。

さらに、安全規制の実効性向上を目指し、新知見や新技術を既存の施設、その運用に確実に反映する法的仕組み「バックフィット対策」や、原子炉の安全・リスクの評価・公表を通じた安全確保の取組の「見える化」、シビアアクシデント対策の法制化など、新しい規制体制への変換にも期待をかけている。


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