「大部分をMOXに転換」 英国の余剰プル長期管理政策

英国エネルギー気候変動省(DECC)は1日、国内で保管している民生用プルトニウムの長期的な管理政策について政府の予備的な見解を公開諮問に付した結果、大部分はMOX燃料に転換して民生用原子炉で再利用し、転換不能な残りは固化処分とする政策が最も望ましいことが確認されたと発表した。

この政策の実行に際しては新たなMOX燃料加工施設が必要となるため、今後は燃料市場や原子炉の利用性に関する情報収集、設備の調達に要するコストや期間等について、詳細な協議の段階に入る。しかし同国では今年8月、稼働率が低迷したセラフィールドMOX燃料工場(SMP)の閉鎖を決定。このため、新規施設に巨費を投じる前にMOX燃料の製造から処分まで、利用全般の正当化要件について作業が必要になるとしている。

英国には現在、民生利用で分離抽出したプルトニウムが112トン存在。このうち約28トンは日本を含め海外顧客の所有。これを戦略的かつ長期的に管理する方策案として、DECCは2月、(1)現在の長期貯蔵の継続(2)固化後に地層処分(3)MOX燃料に加工し、新規および既存の原子炉で再利用――を列挙。政府としては(3)案が最も有望と認識し、予備的見解として公開諮問で提案していた。

5月までに聴取したすべての見解を取りまとめた結果、政府は新MOX工場建設に向けた具体項目の決定には情報が不十分としつつも、(3)案が最も有望であると確認。同案が安全かつセキュリティ上も実行可能で、投資額に見合う価値を有すると確信できた場合にのみ、同計画を進めるとしており、そうした条件をクリアできない場合は別の方策を検討する必要もあると強調している。

政府はまた、海外顧客の保有分も政府の受け入れ可能な条件下で同様に管理可能だと明言。しかるべき政府間協定および商業協定に基づいて海外顧客分を英国が引き取る用意もあると断言した。

こうした状況から、日本の電力会社が英国内に保有するプルトニウムも、プルサーマル計画の遅れに伴い、今後、英国に譲渡される可能性が出てきたと見られている。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで