英国の原子炉新設計画 廃棄物処分費用等で指針

英国エネルギー気候変動省(DECC)のC.ヘンドリー閣外相は8日、原子炉新設計画の促進手続きとして、「新規原子力発電所の廃止措置のための資金積立計画(FDP)に関する指針」と、放射性廃棄物を地層処分のために事業者から引き取る際の「所有権移転価格の設定手順」を議会に提出した。新設計画は政府の補助金無しで進める原則であるため、事業者は実際に原子炉を建設する前に、廃棄物の管理等に要する経費について積立計画を政府に提出するが、両文書はその承認基準や廃棄物引取価格の設定方法を定める枠組となるもの。英国で約20年ぶりの原子炉新設に向け、法的な環境整備が着々と進みつつある。

両文書とも2008年のエネルギー政策法に基づいて作成され、すでに案文の公開諮問は完了している。FDP指針では、第1部としてDECC大臣が事業者のFDPについて諾否や承認条件、修正事項を決定するためのファクターを特定。具体的にはFDPの明確な構造建てや実行可能性、確実な見積メカニズム、透明性、関係者の役割と責任などの点について審査するとしている。また第2部では、エネルギー法の指針を満たせる内容のFDP策定や修正、および実施等について、事業者が必要となる諸情報を提示した。

一方、廃棄物移転価格の設定手順の方は、新規原子力発電所から出る使用済み燃料と中レベル放射性廃棄物について、政府の引取価格設定方法を示した技術文書となる。

英国政府は昨年7月、すべての種類の放射性廃棄物を中間貯蔵した後、時期をずらして1つの深地層処分施設(GDF)に埋設する案を公表。同案を実行に移す場合、事業者は廃棄物の所有権と法的責任を政府に移転する契約を結ぶが、移転費の一部はGDF建設の固定費となるため、GDFが操業を開始する前に事業者が負担する価格を設定しておく必要がある。

すべての管理処分コストを事業者が負担するという原則に基づき、政府はGDF建設費の見積りにおいて、計画進展に伴い不確定要素が減少していく30年ほどの間に予想価格が上昇するリスク分を同価格に上乗せ。その合計額を移転価格として設定する。予想価格が最終的に設定されるまでの間、予想価格は5年毎に改定していく方針だ。

ただし、同時に事業者に最大どの程度の支払いが必要か明示するため、移転価格に上限も設定。1MWhあたり0.20ポンドという現在の見積り額が約3倍に上昇すると計算して、0.71ポンドとなる見通しである。


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