政府 事故収束を宣言 福島第一原発 今後は中長期的課題に全力 「ステップ2」目標達成政府は12月16日、首相官邸で原子力災害対策本部(本部長=野田佳彦首相)を開き、4月に定めた東京電力の福島第一原子力発電所の事故収束に向けた道筋の「ステップ2」の目標としていた事故原子炉の「冷温停止状態」を達成し、「事故そのものは収束に至った」と判断した。 事故収束に伴い今後は、サイト内では3、4号機の原子炉建屋カバーの設置、海側遮水壁の設置などを行い、使用済み燃料プールの燃料取り出しなどを目指して、作業を進める。サイト外では、除染の本格化、福島県民の健康管理、賠償問題などに全力を傾注する。 中長期的には、サイト内での廃炉に向けた作業や廃炉技術の開発、サイト外では住民帰還に向けた作業、中間貯蔵施設立地サイトの決定、国などによる土地の買い上げ・借り上げなどを検討する。 記者会見した野田首相は、「福島の再生なくして日本の再生なし」と何度も強調してきたとし、3月11日に事故が発生して以来、「何よりも原子炉の状態を安定させるべく、国の総力を挙げて対応してきた」と振り返った。 「冷温停止」は通常、健全な原子炉であれば、炉内の冷却水が100℃以下で安定して継続冷却が可能な状態をさし、大気圧で蓋を開けても問題のない状態を意味する。 炉心溶融した原子炉であるため、政府は「冷温停止状態」として、(1)圧力容器底部および格納容器内の温度がおおむね100℃以下になっていること(2)注水によって格納容器内の蒸気の発生が抑えられ、格納容器からの放射性物質の放出が抑制されている状態であること。また、現時点で敷地境界での追加的被ばく線量は年間0.1ミリSvで、目標の1ミリSvを大きく下回っていること(3)循環注水冷却システムの中期的安全が確保されていることが確認できたこと──の条件を示した。ただ、2号機では、圧力容器下部外側の制御棒駆動装置付近の温度が約392℃ある所を含め、100℃以上が4か所存在する。 この点について野田首相は、「万一何らかのトラブルが生じても敷地外の放射線量が十分低く保たれる、といった点が技術的に確認をされた」と強調し、住民の帰還に向けて、「避難指示区域」の見直し方針を表明した。 |
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