2設計に暫定承認発給 英国 新設計画の事前設計審査で

英国保健安全執行部(HSE)の原子力規制機関(ONR)は12月14日、原子力新設計画の事前設計承認手続きである包括的設計審査(GDA)において、ウェスチングハウス(WH)社のAP1000および仏アレバ社の欧州加圧水型炉(EPR)に暫定的な設計容認確認書(iDAC)を発給した。同日、環境省(EA)も両設計の環境面での影響について、暫定設計容認声明書(iSoDA)を発給。新設計画で採用が許される候補設計の安全性に関する評価として2007年7月に開始されたGDAは、約60名の専門家による4年半の作業を経ていよいよ最終段階に到達した。

今回、暫定認可とともにONRが公表したのは、認可発給に至った根拠を概説する報告書のほかに技術評価報告書。さらに、両設計で未だ解決されていない安全面および環境面での問題点について、両メーカーの取り組み計画を示した文書などだ。暫定認可は、これらすべてが解決可能とONRとEAが判断したことから発給されたが、両機関とも「解決するまでは、いかなる原子炉も英国で建設することはできない」と言明。正式承認となる最終DACと最終SoDA取得に向けて、両メーカーにさらなる努力を促した。

安全面での未解決問題は主に、福島事故に関してONRのM.ウェイトマン長官が10月に公表した報告書の中で特定された事項。両メーカーはiDACの有効期間である10年の間にこれらを解決する必要がある。

なお、事業者が新たな原子力発電施設を建設・操業するには、これらと並行して、サイト固有の認可とそれに付随した条件下で必要とされる許可を両機関から取得しなければならない。

ウェスチングハウス社の談話

暫定承認発給を受けてWH社は、「まだ解決すべき課題はあるものの、これでAP1000が安全性と環境保護に関する英国の要件を満たしていることが実証された」として満足の意を表明。残りの課題も最終承認を受ける際、さほど重大なリスクにはならないと強調した。

最終承認に向けて必要な追加作業はすでに行われており、いくつかは現在進行中。英国で原子炉の新設を計画している事業者から望ましい設計として選択されれば、すべての問題が解決されることになるとしている。

同社によると、ドイツのE・ON社とRWE社の合弁事業体であるホライズン社のほか、スペインのイベルドローラ社と仏国のGDFスエズ社による合弁企業のニュージェネレーション社が、英国の新設計画における設計審査でAP1000を支持している。


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