仏原発安全を確認 安全局長 福島事故受け再評価

仏原子力安全規制当局(ASN)のA.ラコスト局長は3日、福島事故を受けて国内の稼働中原子炉などで実施した補完的安全評価(CSA)の報告書をF.フィヨン首相に手渡した。「いずれの施設についても十分な安全レベルに達しており、直ちに停止を求めることはない」とする一方、安全性を実質的に向上させるための設備や対策を、半年以内にそれぞれの施設について策定するよう事業者に要求。事故時に現場に急行する対応部隊を2014年までにすべての発電所に配備するよう求めるなど、電力需要の7割を原子力で賄う仏国として、少なくとも20億ユーロを投資し、原子力施設における安全確保に万全を期す考えだ。

同国では4月に大統領選挙が予定されており、サルコジ大統領の原子力積極推進政策に対する仏国民の福島事故後の認識が初めて明確になると見られている。

CSAは福島事故後、EU理事会のほかフィヨン首相の要請により実施されたもので、同事故の原因となった極限的な状態に対する耐性分析を目的とするストレステストに相当。仏電力(EDF)が操業する商業用原子炉58基と建設中のEPR1基のほかに、燃料関連や研究用を含め優先度の高い79の原子力施設を対象に行われた。

その結果、ASNは地震や津波などの自然リスク防止に関する安全要件を強化し、対策を講じることを事業者に要求した。具体的には、極限的な状況下で基本的な安全機能を保持するため、(1)施設と機器の危機管理(2)情報伝達と警報発令の方法(3)技術的な環境モニタリング機器(4)従業員の線量測定機器(5)原子炉毎に配備する非常用電源と冷却水供給設備――について、事業者は6月末までに対策の策定が求められる。

また、EDFは原子力事故の発生後24時間以内に現場に突入する専門チーム「原子力即時対応部隊(FARN)」を今年から順次、各発電所に設置していくことになる。


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