RI生産の代替炉計画 オランダの内閣が承認

オランダの経済・農業・イノベーション省は20日、ペッテンにある高中性子束炉(HFR)の後継炉として検討されているパラス炉建設計画を、同国の内閣が承認したと発表した。

同国で医療用放射性同位体(RI)を製造している「原子力研究コンサルタント・グループ(NRG)」が伝えたもので、核医学検査に不可欠なテクネチウム製品を供給可能なパラス炉建設に向けて重要な条件が整ったと評価。今後はパラス炉の設計入札で専門企業を手始めとして招聘するほか、許認可に関する手続きを開始するとしている。

現在、世界の医療用RI需要の2割を賄うペッテン炉は、既に稼働開始から50年が経過。NRGでは熱出力4.5万kWのタンク型原子炉となるパラス炉を2015年以降に完成させる予定で、04年からデルフト工科大その他の協力を得つつ建設準備を開始し、09年には環境影響声明書の開始前通知を政府に提出していた。

その後、同建設プロジェクトの詳細については同国政府が綿密に審査。最重要ポイントである財政コストに関して、最終的に同炉が完成した後、民間および公的な医療用RI市場の収入から完全に回収できると判断されたと説明している。

NRGでは3年間に及んだ準備活動が実を結んだとして内閣の判断を歓迎するとともに、同プロジェクトを次の段階に進める準備を開始する。同社はパラス炉の建設がオランダにおける原子力知識インフラを最大限に強化するだけでなく、世界の医療用RI市場や原子力技術研究において同国が極めて強力な立場を有することになるなど、経済的にも重要な意味があると指摘している。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで