サイクルの得失を検討 大綱策定会議 「評価軸」整理へ

原子力委員会の第12回新大綱策定会議が1月26日、都内で開かれ、放射性廃棄物の処理・処分について審議し、同24日に開かれた原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会での検討内容も報告された。

放射性廃棄物の処理・処分については、杤山修・原子力安全研究協会処分システム安全研究所所長が、高レベル放射性廃棄物の特徴や処分の基本的な考え方、今考えられている処分方法などについて説明した。

杤山氏は、日本の地層処分の技術的成立性について、(1)火山や地震の多い変動帯にある日本で、地層処分システムの設置に適した安定な地質環境を見つけることができるか(2)人工バリアや処分施設が、技術的にも経済的にも無理なく設計施工できるか(3)構築された地層処分システム(地質環境、人工バリア)の長期にわたる性能を信頼性をもって評価すること(安全性を判断すること)ができるか──との課題を提示。

これに対して同氏は、「技術的に成立するという十分な根拠がある」とした上で、地層処分を社会に受け入れてもらうためには、公衆からみた専門家の自信過剰と専門家からみた公衆の不信過剰の溝を埋めるためのコミュニケーションが必要との見解を示した。

次いで原子力委員会事務局が、高レベル放射性廃棄物に対する取組と各国の動向について報告。

委員からは、地層処分場の影響は広域に及び、「地元自治体の範囲を変えなければならない。県と合わせて手を挙げてもらうことを考えるべき」、処分場選定プロセスで国からの申入れにより文献調査を行う方法が追加されたが「国が文献調査をしないで地元に申入れをすることはないと皆が思うので、かえって不信感をもつ」、高レベル廃棄物の中間貯蔵を受け入れてもらっている青森県でさえ「ここで説得できないのに他を説得できるとは考えられない」、処分場を考えずに原子力政策を進めてきたというが、他の廃棄物一般にも言えることで「高レベル放射性廃棄物の発生量は非常に少なく(数グラム/人・年)、安全な形で保存しておくことが物理的に可能だからだ。最終処分を考えてこなかったのはCO排出も本質的には同じだ」などの意見が出された。

原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委の審議報告では、鈴木達治郎委員長代理が、(1)燃料サイクルの政策選択肢を議論する上で、まず「技術の特性」について最新情報の共有と理解を深める(2)我が国が進めている現行政策の核燃料サイクル・高速増殖炉路線に加え代替サイクル路線の技術選択肢を整理する(3)既存路線と代替路線についての得失を整理し、その評価軸を整理する──などの方針を説明した。

八木誠電事連会長は、「高レベル廃棄物のガラス固化試験は最終段階にきており、あと一歩の所まできている。高レベル処分場の立地は最重要課題と認識している。国の揺るぎない(推進)姿勢がなによりも重要で、より一層の理解促進を必要としている」と述べた。

河瀬一治・全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)会長(敦賀市長)も、「処分場の問題は、何とかしなければならない。地元は国を信頼して原子力を受け入れてきた。処分場についても、国が責任をもって進めるべきだ」と述べた。


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