包括的シビアアクシデント対策求める IAEAミッション 「ストレステストは妥当」

IAEAによるストレステスト・レビューミッション(団長=ジェームス E.ライオンズ原子力安全セキュリティ局原子力施設安全部長)が1月31日、同月23日からの来日日程を終え、原子力安全・保安院に、7つの勧告と4つの助言を盛り込んだ予備的調査報告を手渡した。

現在、日本では、既設の原子力発電所について、自然災害に対する安全裕度を評価することを目的に、ストレステストが進められており、そのうち、運転再開の判断に資することとなる1次評価で、既に幾つかの事業者から、評価結果が国に対し提出されている。今回ミッションは、それら評価手法の妥当性検証のため来日したもので、保安院から事業者に示された安全評価に関する指示・審査プロセスについて説明を受けたほか、現時点で最も審査が進んだ段階にある関西電力大飯3、4号機を視察、IAEAの安全基準を用い、(1)規制審査・評価プロセス(2)外部ハザード・安全余裕の評価(3)全交流電源喪失・最終ヒートシンクに対する発電所の脆弱性(4)シビアアクシデントマネージメント――の4分野からレビューを行い、課題を抽出した。

予備的調査報告にあげられた勧告では、安全評価の実施・審査で期待されることの明確化、追加的措置を求める場合の適切な文書化の他、立地地域近隣の利害関係者との会合開催といった評価の透明性確保にも言及、さらに、今後の2次評価や評価終了後の中長期的取組で、包括的なシビアアクシデント対策などを求めている。良好事例としては、事故発生後の迅速な緊急安全対策、これらに対する現場踏査の実施などをあげており、レビューチームとしては、国内で進められているストレステストについて、保安院の指示・審査プロセスは「基本的にIAEAの安全基準と整合している」と結論付けている。

今回のIAEAレビュー終了を受け、保安院では、「助言について具体化を図っていきたい」として、国際的知見を原子力安全確保に活かしていく考えを示している。

また、都内で記者会見に臨んだライオンズ氏は、レビューミッションの予備的報告について説明し、「今後もIAEAとして協力を惜しまない」などと、引き続き世界の原子力安全強化に努めていく考えを強調した。


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