除染し元の生活戻して 国会事故調 町長が無念の思い

国会の第3回福島原子力発電所事故調査委員会(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)が1月30日、福島第一原発の立地自治体である双葉町住民の集団避難先と臨時の双葉町役場が設置されている埼玉県加須市で開催された(=写真)。同会議では、避難町民約70人も傍聴する中で、井戸川克髑o葉町長が事故前後の状況や、同調査会への事故解明に期待する点について、原子力規制当局、東京電力の推進体制、気象庁の津波警報への疑問、報道、福島県、原子力損害賠償紛争審査会への要望などを述べた。

その後、同委員会は双葉町民と率直な意見交換を行うタウンミーティングを行った。

同町長をはじめ多くの町民からは、「事故の矮小化は許されず、事故の顛末を見つめ、歴史に刻んでほしい」、「補償問題がはっきりしないと先に進めず、最大の関心だ」、「町は汚染状況で3区域に分かれる。除染を行い、元のきれいな生活の場を取り戻してほしい」などの意見が出された。

委員から全国原子力発電所所在市町村協議会副会長としての意見を聞かれた井戸川町長は、「原子力発電所を設置して良かったのかどうか。立地交付金で多くの施設も作ってきたが、全部置いてきている。借金も置いてきたかった。ものすごく大きな負の遺産となっている」と述べた。

井戸川町長は終了後、会場で記者団の質問に答え、放射性物質に汚染された廃棄物の中間貯蔵施設の受入について、「町長としては、受け入れられないと言ってきたが、双葉地方町村会(8町村)の会長としては、一概には断れないので(立地がなぜ双葉8町村なのか)、理由をはっきり示してほしい」と述べた。今後の国や県などとの話し合いの進め方については、「段取りをどうしていくか、事務局につめさせている」と語った。

事故調への参加については、「これほど時間をかけて事故被災地の問題を率直に話せたのは初めてで、やっと実現できたという感じだ」とした。タウンミーティングについては、「今日は住民の皆さんは相当遠慮して発言していたように思う。本来なら、もっと厳しい言葉を発したかったのではないか」との感想を述べた。同町長は「こんなことがなければ、ただの田舎の町長ですんだのに」との言葉を残した。


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